城崎温泉名物 出石の皿蕎麦

『小説の神様』とも呼ばれ、今なお、多くの人々に敬愛されている文豪、志賀直哉。彼が心から愛し、短編小説の舞台としても用いた温泉地が、兵庫県にある城崎温泉です。城崎は、平安時代から既に知られていたほどの古い歴史を持つ温泉地であり、現代においても、全国各地から多くの人々が訪れています。

城崎の名物と言えば、温泉。冬の季節にはカニを堪能することが出来ます。しかし、城崎の名物料理は、何もカニだけではありません。城崎がある兵庫県、豊岡市の地元住人に長年愛され続けている名物料理。それが、『出石の皿蕎麦』です。

一見すると、割り子蕎麦にも見える出石皿蕎麦ですが、特徴的なのは蕎麦が入れられている器が、天塩皿と呼ばれている大人の手のひら大のサイズの浅い陶器の皿であること。
これは江戸の幕末の頃に、屋台で蕎麦を提供する際に、より持ち運びが便利なように天塩皿に蕎麦を持って出したことが始まりだとされています。

出石の皿蕎麦は、お蕎麦屋さんの店舗で頂く際には一人前あたり、5枚のお皿に小分けに盛ったお蕎麦が提供されます。尚、何人かで出石の皿蕎麦を食べに行くと、何枚ものお蕎麦が盛ってある天塩皿が一気に出されるため、なかなかの圧巻です。

食べ方も独特のスタイルがあり、一番初めの一枚目の皿蕎麦を食べる時には蕎麦出汁に薬味は入れずに頂きます。まずは蕎麦本来の味を確かめるためです。また、蕎麦出汁自体も、薬味を入れていなくてもカツオと昆布の濃厚なお出汁の味を楽しむことが出来ます。次に、2枚目を頂く際には、用意されたネギやワサビなどの薬味を入れて、お蕎麦を食べます。最初の素朴な味わいとは、一味変わって、薬味で引き締まった蕎麦を楽しみます。更に次の皿蕎麦を頂く時には、今度は山芋をかけて食べます。胃腸にも優しいお蕎麦に変わります。最後はウズラではなく、ニワトリの卵を落として蕎麦を頂きます。

蕎麦自体は、素朴でさっぱりとした味わいですが、薬味や山芋、生卵などの様々な食べ方が挑戦でき、飽きの来ない味に仕上がっています。

externallinkコメント一覧

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)