大阪の商人に愛されてきた船場汁

大阪の船場は、古くから問屋街として発展してきた町です。忙しく働く船場商人達の空腹を満たしてきたのが、船場汁と呼ばれるすまし汁です。サバと大根が主な材料で、出汁は昆布で取り、醤油や塩で味付けをして仕上げます。サバの中骨やカマなどを活用して作る船場汁は、食材を無駄なく美味しく食べ切れるよう工夫する「始末の精神」が伝わる料理で、大阪商人ならではの合理の美学を感じさせます。基本の具材は、シンプルですが、大根以外に人参など他の野菜類を加えて作ることもあります。吸い口には柚子や葱を添えたり、生姜の絞り汁を入れたりします。

良質なたんぱく質やビタミンを一椀で摂取できる船場汁は、健康志向が高まる時代にあって、ますます注目度が高まっています。材料が身近に揃えやすく、また、作り方も決して難しくない船場汁は、一般家庭でも作りやすいことから、料理本やレシピサイトで度々紹介されています。農林水産省は、レシピサイトのクックパッド上に公式キッチンを設けていますが、船場汁は、農林水産省がクックパッドで公開している郷土料理のひとつでもあります。

大阪の福島に本店を置くとろさば料理専門店「SABAR」では、船場汁に青森の南部せんべいを割り入れた船場風せんべい汁が人気です。

[写:Ai Amo@fliker]

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