降灰の地・鹿児島の端午の節句は「あくまき」

端午の節句、全国的に祝い菓子として知られている青い笹に包まれた「ちまき」。ところが、鹿児島県では「あくまき」と呼ばれるちまきの変わり種が「ちまき」として広まっており、初夏の味として広い世代に楽しまれています。

各家庭によって多少の違いはありますが、一般的なのは笹で包まれた板チョコサイズの四角形の形をしていて、数か所笹の葉を割いた細い糸で結ばれた形。中身はあめ色をした甘みのないお餅が入っています。

「あくまき」という名前に不思議に思われる方も多いかもしれません。この名前、調理の際に灰汁(あく)を使う事からきています。漢字で書くと「灰汁巻き」という事です。もち米の浸水時に灰汁を使用し、笹に包んだ後、灰汁で3時間ほど茹でます。そうすることで、もち米の芯まで灰汁の成分と風味が浸透し、笹の風味と灰汁の独特のほろ苦さを楽しむことができるのです。食べ方も各家庭それぞれですが、笹をとめるのに使った細い糸でくびり切るように切り分け、砂糖ときなこ、黒蜜などをたっぷりかけて食べるのが一般的です。

そもそも、どうしてちまきに灰汁を使用し、「あくまき」となったのか?それは、保存の目的があったようで、関ケ原の戦いの時に、当時の島津藩の兵糧として開発されたとの言い伝えもあり、かの西郷隆盛も西南戦争時に愛用していたようです。笹の葉の高い保存性に加え、灰汁のアルカリ環境による菌の繁殖抑制効果が、長い間兵糧として活躍できたわけです。また、灰の効果で現れる独特の風味や食感が、降灰の地である鹿児島の人々に長く愛されているのです。

[写:yuko@fliker]

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