京都のおせちに欠かせない「棒ダラ」

お正月の楽しみといえばおせち料理です。関西地方、特に京都のおせち料理で欠かせないのが「棒ダラ」。他の地域ではなかなか見かけないものですが、京都のおせち料理の中では、棒鱈の煮物は非常にメジャーな存在です。

棒ダラはマダラの干物ですが、京都のおせち料理に使われる場合は、しっかりと水で戻すことが必要ですが、大きいものの場合、3日から1週間はかかるという非常に手間のかかるもの。この戻した棒ダラに出汁と酒、しょうゆと砂糖を加えてコトコト似たものが京都のおせちに入る棒ダラの煮つけです。この棒ダラの煮つけは京都だけでなく大阪などでも一般的な存在で、生粋の関西人の中には、棒ダラのセリが始まると冬の訪れを感じるという人も少なくありません。

この棒ダラが京都や大阪で一般的な存在となったのは江戸時代の頃。海からは距離があった当時の今日の都では、棒ダラは一般的な食材でしたが、江戸時代におせち料理が重箱に詰められる形になるとともに、その重箱の中に日持ちのする煮つけとして加わるようになりました。

ちなみに、お正月のおせち料理は「黒豆」は「まめに働けるように」、「昆布巻き」は「喜ぶことが多いように」といった意味が込められていますが、棒ダラの場合は「たらふく食べられるように」という願いが込められています。年の初めに「今年も食べることに困りませんように」という願掛けに食べられるのが棒ダラの煮つけという存在。水に戻すことが手間がかかり、最近では京都のおせちにも棒ダラが登場することは少なくなりましたが、忘れたくない日本の食文化のひとつといえそうです。

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