出世魚「スズキ」の驚くべき生息地域

スズキという魚の名前は誰でも1度でも聞いたことはあるのではないだろうか。主に海や汽水域に生息するスズキは日本の周辺海域全域に生息していて、刺身など食用としても用いられる魚だ。またスズキは「出世魚」と言って生存年数と大きさによって名称が変わる。関東では1年から2年の全長20~30cm程度のものを「セイゴ」、2年から3年以降で35~60cmを「フッコ」、そして4年以上の成魚で60cmを超えるものがスズキと呼ばれるようになる。各地方によって呼称が変わる場合もある。

このように一般的には出世しきった成魚の名前で呼ばれているスズキは主に河口や漁港内で生息しているわけだが、夏の時期になると汽水域つまりは海水と淡水の混じる河川を登って街の中に入ってくる場合もある。特に驚くべきなのは、東京都の都心の中を流れる荒川や江戸川などにも実は生息が確認されることがある。

近年清浄化が進む東京の河川には多くの魚が生息場所として戻り始めているが、スズキのような大型の魚も実は生息しているのだ。勿論、スズキが汽水域を好む魚だからということもあるが、他にも多くの理由がある。その1つはスズキが攻撃的な魚だからということだ。スズキは肉食性であって小魚やカニなどをよく食べる。捕食の際には大きな口を最大限まで広げて水面近くまで食いついてくような荒々しい気性も持ち合わせているほどだ。そんなスズキにとって夏の河川は小魚の居着きやすい場所であり、絶好の食事場となる。

そんなスズキを狙って都心の河川には釣り人がよくやってくる。釣りには小魚に似せて作った疑似餌の「ルアー」を使う。ルアーはプラスチックや金属で作られているが、攻撃的なスズキは食欲のあるときにはルアーでさえ餌として認識して食いついてくる。時に80cmを超える超大物もいるというから驚きだ。街の中を流れる川をじっと見ている人は中々いないだろう。だが、その私たちの足元を流れる川には気づかないスズキが悠々と泳いでいる時もある。

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