鹿児島県の名物「ごて焼き」 一味違った伝統的な味付けで

鹿児島を知っている人からよく驚かれることは、日本全国どこでもメジャーなものでも、時折独自のネーミングセンスを駆使して名前を付けることです。その例としてとして「ごて焼き」があります。「ごて」というものは、鹿児島弁で足や、すねを表す言葉です。この場合、鶏の「ごて」を表し、鶏のすね肉、一般的にはもも肉と呼ばれる部位を骨付きのまま焼いたものを、「ごて焼き」と言います。

日本全国の一般的な言葉で言い換えると、ごて焼きは「チキンレッグ」や、「骨付きチキンステーキ」などと呼ばれるものです。鹿児島でも「ごて焼き」の定義は広くなっていて、少しおしゃれな居酒屋などに行くと、骨付きチキンステーキと全く同様の、塩コショウやハーブで味付けしたものも「ごて焼き」として供される場合もあります。しかし、伝統的な味付けを守るのであれば、上記のようなオシャレなものでもなく、ましてや、日本全国でいうチキンレッグなどとは少し味付けが違います。

伝統的な作り方は、事前に醤油や砂糖、酒で甘辛いつけ汁につけて味をしみ込ませます。そして、それをフライパンにつけ汁ごと入れ、焼き煮のような形で中までしっかり火を通し、その後、グリルや炭火の上で焼いて、表面に焦げ目と照りをつけます。素手で骨を持ち豪快にかぶりつくと、パリッとした皮目の香ばしさと、中までしっかり甘辛い味のしみ込んだ、ほろりと柔らかい肉。焼酎やビールはもちろん、白いご飯とも相性抜群です。

家庭で作る場合もありますが、意外に手の込んだ料理の為、鹿児島ではよくあるような、「かしわ屋」(鶏肉、鶏肉料理専門店)やスーパーなどで買うのが一般的になりつつあります。そして、クリスマスシーズンになると、コンビニのフライドチキンなどと同様、「ご予約受付中」の看板がどのかしわ屋に出されるものも、鹿児島のクリスマスの風物詩となっています。

[写:labocho@flickr]

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鹿児島県の名物「ごて焼き」 一味違った伝統的な味付けで へのコメント 1件 』

  • 投稿者:西駅太郎

    懐かしいな~。鹿児島を離れてもう32年近く。
    小学生の頃(昭和50年代)、商売をしていた親父が売上が多かった日の夕方には「今日は商売があったでごて焼きを買うてけ!」と千円札1枚渡されてかしわ屋へおつかいにいきました。その頃は1本150円ぐらいだったと思います。
    我が家だけかもしれませんが肉と言えばだいたいは鶏肉。それも手羽元がごちそうでした。牛肉は年に2.3回。動物性のたんぱく質は魚と鶏肉でしたからごて焼きは大晦日のすき焼きの次ぐらいのごちそうでした。
    あんなごて焼きをまた食べたいです。

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