生きた化石カブトガニ、医療現場では欠かせない?

生きた化石と呼ばれるカブトガニは、2億年もの間姿かたちを変えることなく存在してきました。カニという名前がついているため、甲殻類かと思われがちですが、実はクモやサソリに近いと言われています。カブトガニは生まれてから十数回の脱皮を繰り返して60cm程度の成体となります。メスはオスよりも脱皮回数が1回多く、ひとまわり大きい体をしています。オスは8歳、メスは10歳ごろになると成熟し、交尾が可能となります。カブトガニのメスは一度の産卵で9万個もの卵を産みますが、無事成体になることができるのは10個体程度です。水産生物の産卵には、小さな卵を数多く産むr戦略と大きな卵を少しだけ産むk戦略とがあります。カブトガニの産卵はr戦略にあたります。卵の数は多いですが、捕食などによって成体になることができるものはわずかです。

生きた化石として有名なカブトガニですが、実は医療現場で欠かせない存在となっています。カブトガニの血液にはヘモシアニンが含まれるため、青色をしています。この青色の血液にはLAL(Limulus amebocyte lysate)という物質が含まれています。LALは細菌内毒素と反応すると、ゲル状の物質となる性質があります。この性質を利用して、LAL試験と呼ばれる医療機器やワクチン、食品に含まれる有害物質を検出する試験に用いられています。試験結果は45分後には判明します。以前はうさぎの血液を用いていましたが、試験結果が出るまでに48時間もかかっていました。捕獲されたカブトガニは血液採取装置に設置され、体内のおよそ30%の血液を採取されます。その後海へ戻されますが、10~30%のカブトガニは死んでしまいます。メスの場合は、産卵行動に影響があるとも言われています。

私たちが生きていく上でなくてはならない存在となっているカブトガニですが、産卵場所の減少や水質悪化の影響で、その数は年々減り続けています。カブトガニを守るためにも産卵場所の保護はもちろん、LAL試薬に替わる人工試薬の開発が待たれます。

[写:vaboo.com@fliker]

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