奈良の観光で食べて欲しい郷土メニュー、吉野本葛の葛餅-名店は「天極堂」

一見すると、わらび餅にも見えますが、『葛餅』はわらび餅とは似て非なるもの。葛は私たちの生活の中でも、口にする機会はそう多くはない食べ物です。葛とは、マメ科の植物の一つで、根っこの部分が食用となり葛粉の原料になります。

山野であれば、比較的生えやすい植物ではありますが、良質の葛粉を手に入れるためには並々ならぬ努力が求められるのです。例えば1870年に創業された、奈良の名店の一つ『天極堂』ですが、この店の葛は、特に寒さが厳しい冬の時期に、人がやっと歩けるほどの山奥へと入り、地中深くに生えている葛の根っこを掘り起こし採取します。その根を繊維状に粉砕し、水と混ぜ合わせて葛の音に含まれているデンプンを揉みだします。そこから『吉野晒』と呼ばれる、奈良の吉野地方独自の製法によって葛粉を精製した物が『吉野本葛』とされるのです。冬の冷たい季節だからこそ、澄んだ空気と水で丁寧に仕上げられた吉野本葛は、口当たりが驚くほど滑らかです。

そんな吉野本葛の名店、『天極堂』でも一押しの郷土メニューが、作り立ての葛餅。客の注文を受けてから作るため、作り立て吉野本葛の本来の味を味わえます。舌の上で蕩けるような食感と、涼し気な見た目は、夏場のお菓子としてもぴったりです。

文豪、志賀直哉の作品の中の一文に、「奈良にうまいもんなし」という言葉がありますが、それが誤りであることが証明される、奈良の美味しい郷土メニューです。

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