気が付けば朗朗介護(9) -生きてる限りは、好きなものを-

長くお母様の介護していた友人Tさんと久しぶりに会った。Tさんのお母様は昨年亡くなったのが、それまで約10年間、ずっと1人で介護をしていた。「気が付いたらこんな歳になっていた」と笑って話すが、安堵の気持ちと寂しい気持ちが入り混じっている様子が私にもひしひし伝わってきた。私もいつかそんな思いをする時が必ず来るのだろう。

晩年、Tさんのお母様は認知症の症状も出始め、目が離せなくなったのだが、Tさんは仕事も忙しくなり、1日5回もヘルパーに来てもらっていたそうである。「介護保険を使っても、ヘルパーや訪問看護などにかかる費用は月16万円だったよ。」と聞いて驚いた。その額は、現在私が1ヶ月に支払っている額の5倍強なのである。

亡くなる3年前に施設に入所するのだが、その発端は総入れ歯が合わなくなったことだという。加齢で歯茎が収縮して徐々に入れ歯が合わなくなり、しまいには痛みで入れ歯が使えなくなったが、それでも歯茎で食事をしていたという。「歯茎では噛むのが大変だね」と聞くと、「きんさん、ぎんさん(双子のおばあちゃん)は歯茎だけで食事していたらしいけど、長生きしたから大丈夫だと思うよ」とその頃は答えていた。

ところがある日、「夕食のすき焼きの肉が噛み切れず、飲み込んだ肉が喉に詰まってしまって・・。救急車で病院に運んで、一命は取り留めたものの、その頃から食事が思うようにできなくなり、衰弱していった」そうである。「プリンが一番食べやすくて、毎日食べていたなあ。細かく刻まれた食べ物だけだったから、可哀そうだった。人は食事が満足にできなくなると、途端に体は弱ってしまうね」と話していたが、本当にそう思う。

そんな話をしながら思い出したのが「スマイルケア食」のことだ。もともと介護食品と呼ばれていた食品の範囲を農水省が再整理し、新しい介護食品としてより親しみを持てるよう呼び名を公募し、愛称が「スマイルケア食」となったのだ。ちなみにロゴマークやオリジナルテーマソングもあるとのこと。スマイルケア食は大きく次の3つに分類される。

① 飲み込む機能に問題がある人向けの食品

② 噛む機能に問題がある人向けの食品

③ ①②の機能に問題はないものの、健康な体を維持し活動するために必要な栄養の不足の予防につながる食品

さらに、それぞれに色別のマークが付けられ、わかりやすい表示がなされている。今年夏以降、小売店などで商品選びに役立つツールとしてさらに詳しい早見表が作成され、運用が開始されることになっている。これからも興味深く見守っていきたい。

実は私の母も歯が合わなくなり、痛がるようになった。市販の入れ歯固定剤を使って応急処置はしているものの、歯茎での食事になってしまうのは時間の問題だろう。食事を作るときは野菜や肉などをより細かく切って調理するよう気をつけているし、また母が大好きな団子やまんじゅうなど餅系の甘味は、喉に詰まらない大きさに切って食べさせている。健康のためにバランスよく食事をとらせることは基本だが、生きてる限りは、好きなものを食べさせてあげたいと思う。(続く)

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筆者:渋柿
昭和53年、母38歳で脳溢血。一命をとりとめたものの右半身麻痺、失語症に。
私は17歳から介護生活を開始。38年が過ぎた今も、在宅介護が続いている。
平成28年、母76歳、息子の私55歳。老々介護が間もなく訪れる。
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[写:hu album @fliker]

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