
北海道にも夏が来ました。雪解けと共に、周囲の木々の緑は一斉に芽吹き、目に入る緑は、みずみずしい若葉色から、濃い緑色へ日々変わっていきます。春を通り越して一気に夏になるようです。自然環境に恵まれた北海道では、一年中自然の中で、様々なアクティビティーが楽しめますが、是非一度試したいのは「カヌー体験」です。
今回ご紹介するのは、北海道東部に位置する弟子屈町にある屈斜路湖の『ぢぢカヌー』です。屈斜路湖は弟子屈町にある自然湖で全面が結氷する淡水湖で日本最大の面積を持つカルデラ湖です。
『ぢぢカヌー』はこの屈斜路湖と釧路川を巡るカヌーツアーです。夢のような神秘の空間へ誘ってくれる案内人は、「ぢぢ」と呼ばれる祖父江健一さん。愛知県出身で、北海道へ移住して20年のぢぢさんは、「祖父」江さんなので「ぢぢ」さんと呼ばれています。ツアーの受付とサポート、ツアー出発時と終了間際の写真撮影、更にツアー後に美味しいコーヒーと至福のピッツアまで提供してくれるのは「ぢぢよめ」直子さんです。二人のお子さんの子育て中でもある中「ぢぢさん」ご夫妻はツアー参加者をもてなします。
カヌーに乗って屈斜路湖上に出てみると、予想以上に低い視点で湖面が迫り、湖面の透明度と迫力にテンションがあがります。屈斜路湖で漕ぎ方を教えてもらったらいざ釧路川へ。風、木々、水の流れ、自分の鼓動、呼吸など、自然の音しか耳にしない静かな世界は、目に入るものも人工物の一切ない、まさに非日常な神秘の空間です。
ぢぢさんのガイドポリシーは「押し付けない」です。ツアー参加者が望んでいることを、自然に提供するスタイル。静かにぼーっとしていたければ、時間の許す限り見守ってくれ、質問すればいくらでも丁寧に答えてくれます。このようなガイドポリシーから、ぢぢさんの屈斜路湖、釧路川、カヌーを愛する心が伺えます。どんな人でも自然にボーダーレスに受け止めてくれる懐の広さや、何でも受け入れてもらえるという安心感に包まれると、ツアー中は非常にリラックスできるのです。
ツアー途中ではぢぢさんが、カヌー上でガリガリとコーヒー豆を挽き、挽きたての豆でドリップしたコーヒーと、さつまいものように甘いふかしたジャガイモをおやつに提供してくださいます。こうして心身ともにリラックスし、日常の悩みを忘れることができます。なぜかとても良い人間になれそうな、優しい気持ちになりました。
「見る」だけの観光旅行ではなく、「体験」をメインとする旅行が増えてきています。これからの北海道は湿度が低く爽やかな風が流れる季節、人工物から離れた世界へ出かけてみませんか?私が体験したのは厳寒の真冬、ドライスーツを着込み冬の完璧な装備でしたが、しぶき氷(波が木や石に当たってつらら状に凍る)を間近に見ることができました。
屈斜路湖と釧路川のカヌーツアーは通年、どの季節もそれぞれの良さがあります。何度でもリピートして、様々な季節を体験してみたくなるといいます。季節に合わせたコーディネートで、新しい世界観と、幸福感に満ちた時間をプレゼントしてくれる「ぢぢさんファミリー」が待っています。
筆者:澤口美穂。カナダへのワーキングホリデー、グアテマラ留学含め、約2年半北米、中米、南米を中心に周遊。帰国後、ヨーロッパ本社の外資系企業日本法人2社で勤務し、アジア、ヨーロッパへ数多く出張。20代からの訪問国数は約30か国以上。平成28年、生活拠点を東京から札幌に移す。様々な国の人々と共に働いてきた経験や自分の想いを形にした新しいビジネスと人生のセカンドステージを構築中。