山陰のおせち料理の花形的存在は珍味「ワニの刺身」

おめでたいお正月を祝うおせち料理。地方によって様々な違いがありますが、島根県の南部から広島県の三次地方のおせち料理で欠かせないのが「ワニ」です。「ワニ」は地方の郷土料理として人気があり、特にお正月のおせちには「ワニの刺身」が欠かせません。

「ワニ」といってもアリゲーターに代表される爬虫類ではありません。この地方で「ワニ」と呼ばれているのは、実は「サメ」のこと。この地方にルーツを持つ童話「因幡の白うさぎ」で登場する「ワニ」も、実はサメのことです。

この地方はサメ料理はとてもポピュラーな存在です。なぜなら、山の中にあり海の幸を味わうことが非常に難しい環境でしたが、サメは身の中に尿素が豊富に含まれているため、食中毒の原因物質が抑制され、脂身の変化も少ないことから非常に保存性が高く、なんと捕獲してから2週間近くも生食が可能なほど。

そのような理由から、冷蔵技術が発達していなかった時代から、この地方では「ワニ」、つまりサメが貴重な水産資源として愛されてきました。この「ワニ」は煮こごりなどでも食べられますが、一番は「刺身」です。いくら日持ちがいいとはいえ輸送には時間がかかることから、「ワニの刺身」は非常にぜいたくな存在として、おせち料理の花形的存在です。山間の地方で刺身が豊富に味わえるようになった現代でもそれは変わりません。

「ワニの刺身」はビンチョウマグロの刺身に似た白っぽいピンク色が特徴で、ショウガやワサビを添えると上品な味わいに変身するとのこと。山陰でお正月を迎えるときには、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。

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