なんと舌平目まで! 潮待ちの港、鞆の浦の冬の風物詩

広島県東部の海岸沿いに鞆(とも)の浦という港町があります。数年前に「崖の上のポニョ」という映画の舞台として有名になり、最近は架橋問題で揺れている町です。鞆の浦は瀬戸内海のほぼ中央に位置しているため、汽船が発達する前は潮待ちの港として重宝されて来ました。また以前は漁師の数も多く漁業も栄えた町でしたが、現在は「観光鯛網」がその面影を残す程度です。しかし今でも数軒昔ながらの水産加工品を生産している店が残っています。

鞆の浦では、年末の寒くなる時期から、60cmほどの針金にサヨリの目を通し、それを3段に吊るした丸干しの風景がひとつの風物詩になっています。夏前に生まれた稚魚が半年ほどで20cm近くに成長し、一塩をして浜風で乾燥させます。この丸干しを50匹束ねた製品は、正月の贈り物として大変喜ばれます。

またこの時期、ガンゾウヒラメを乾燥させた干物は、デベラと言ってこの備後地方ではよくスーパーなどで見かけますが、鞆の浦ではなんと舌平目を同じように干物にしています。ところで備後地方では舌平目をゲンチョウと呼んで煮付けや唐揚げにして食べていますが、小型のものはデベラ同様に干物にされます。

同様に、手長ダコも干物にされます。軽く醤油で煮たものをそのまま乾燥させます。近くの下津井ではマダコの足を広げて乾燥させますが、鞆の浦ではそのままブラーンとぶら下げて乾燥させます。小さく千切りながら食べますが、最初はとても硬く歯がたちません。口の中でそのうちふやけてきて噛むと徐々に蛸の旨味が口に広がってきます。

鞆の浦の冬は干物が美味しい季節です。最近は高齢化が進んでいますが、その味はぜひとも守って欲しいものです。


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