立憲民主党の野田佳彦代表が地方行脚に注力している。7月の参院選で事実上敗北し、今後の展望が開けないことにも党内の不満は強い。国民民主党や参政党は次期衆院選に向け地方で候補を積極的に擁立する方針で、野田氏には党再生への取り組みをアピールしつつ、他党に対抗して票の掘り起こしと候補者発掘につなげる狙いがありそうだ。
野田氏は15日、熊本市で街頭演説し、「今こそ立憲民主党が躍進しなければいけない。中道ど真ん中で厳しく政権をチェックする役割が求められている」と訴えた。
行脚は3日に始まった。山形市と宇都宮市で畜産や農業の現場を視察し、関係者と意見交換した。16日には長崎市を訪問。熊本を含め、まずは「参院選で擁立が困難だったか、負けたところを意識して選んでいる」(周辺)という。
立民は参院選で議席を伸ばせず、野田氏は「事実上の敗北」と総括せざるを得なかった。自公連立政権の崩壊という政権奪取の千載一遇のチャンスも生かせず、自民政権の延命を許した。13日には党内最大のリベラル勢力「サンクチュアリ」など計3グループが合同勉強会を開催。野田氏への不満が表面化しつつあるとの見方が出ている。
一方、国民民主は参院選の躍進を次期衆院選で再現しようと、玉木雄一郎代表が毎週のように地方を訪問。目標の51議席以上を達成するため、全国で候補擁立を急ぐ。参政は所属国会議員を各地の集会に派遣。9日投開票された東京都葛飾区議選ではトップ当選を果たすなど、勢いは衰えていない。
立民幹部は「農業やクマ対策など地域の課題に地道に取り組み、地方を大事にする姿勢を示したい。『どぶ板選挙』の全国版だ」と狙いを語った。
〔写真説明〕街頭演説する立憲民主党の野田佳彦代表=15日、熊本市

