<アニカ・ドリブン by ゲインブリッジ at ペリカン 最終日◇16日◇ペリカンGC(フロリダ州)◇6349ヤード・パー70>
快挙を成し遂げた。山下美夢有が米国女子ツアーのルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)を戴冠。1990年の小林浩美、2024年の西郷真央に続き、日本勢史上3人目の偉業となった。
昨年12月に行われたQシリーズ(米最終予選会)をトップ通過して歩み始めたルーキーの道。今大会を含めて今季は24試合に出場し、トップ10入りはルーキー最多の12回。8月「AIG女子オープン」(全英)でメジャー初制覇を飾ると、2週前の「メイバンク選手権」で2勝目を果たした。世界ランキングは自己最高の3位にまで浮上している。
ポイントランキングトップ60が出場できる次週の最終戦「CMEグループ・ツアー選手権」を待たずしての戴冠。「あんまり実感はない…」と話しつつも、タイトル獲得にはちょっぴり感慨深げ。「歴代の(受賞)選手をみても素晴らしい選手がたくさんいる。そこに一緒に名を置けるのは光栄なこと」と話した。
今季は“日本人ルーキー”が大活躍。竹田麗央、岩井明愛、岩井千怜もツアー優勝を飾り、賞レース争いの上位を独占した。「これだけ今年、ルーキーとして日本人の選手が勝って、私もびっくりしています。本当にすごい。わたしもついていけたのもよかった。刺激をたくさんもらったし、私も頑張ろうという気持ちになりました」。
そして、周囲のサポートにも感謝する。全英の優勝を見守った家族、とりわけコーチでもある父・勝臣さんは、“時差”をものともせずに、山下の練習をいつでもビデオ通話でサポートした。「この賞をいただけたのは、一人だけじゃなくてたくさんの方に支えていただけたから」と頭を下げる。
ただ、この記念すべき日は「75」とスコアを落とし、トータル5オーバー・68位タイで大会を終えた。2番パー4ではグリーン左のくぼ地からパターでの寄せが2度傾斜で戻ってきて、3パットも重なるなど『9』の大たたき。9番パー3では池に2度入れて『6』とするなど、厳しい一日になった。
プレーヤー・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀選手賞)争いではジーノ・ティティクル(タイ)との一騎打ち状態で最終戦に入る。意識はしていないとしつつ、「いまのこの状態だと全然ダメ。もう一回しっかり見直して、最後まで頑張りたい。だいぶヒントは出てきているので、しっかり、細かく、丁寧に練習していきたい」と気を引き締める。
あすにはロレックスLPGAアワードに出席し、新人賞の表彰などを受ける。「本当に、すごく楽しみ」と言いつつも、気にかけているのは登壇してスピーチをすること。「緊張しています。英語で話さないと。ヤバい…」と恥ずかしそうに笑った。(文・笠井あかり)
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