鹿児島の呉汁とは?

呉(ご)は、一般的には豆腐を作る際、にがりを打つ前の豆乳とおからが混ざったドロドロの状態のモノを指す言葉です。ですが鹿児島で呉といえば、大豆を柔らかく茹でて、それを潰したものを呼び、鹿児島独特の食べ物で、呉汁(ごじる)というものがあります。実は呉の調理バリエーションはそんなに多くはなく、そのほとんどがこの呉汁として消費されます。調理方法は簡単。お味噌汁の具として呉を入れるだけ。と言っても、作り方は各家庭によって様々なようです。まず一般的なのは、ゆで大豆をすり鉢などで潰す、もしくはミキサーで細かく砕いて投入する方法。近頃ではこちらの方が多いかもしれません。

もう一つは、つぶした大豆を天日で乾燥させた保存食「呉」を水でもどして、使う方法。ひと昔前までは、どの家庭の庭先にもつぶした大豆を干していたものです。中には、ムシロで挟んだゆで大豆を道路に出しておいて、車に踏ませて呉を作っていた、なんていう家庭もあると聞くほどです。現在は、田舎の物産館などで時折売られているのを目にする程度です。どちらの方法でも、同時に根菜や肉類なども一緒に煮込み、最後の味噌で味をつけます。本当に、作り方はお味噌汁や豚汁などと同じです。

晩秋から初冬に出回る新大豆を潰し、温かい味噌汁に入れる…。これは女性にとってとてもありがたい食べ物です。大豆には、女性ホルモンと同様の働きをするイソフラボンを多く含んでいる上、体が温まります。とはいえ、昨今は呉汁を家庭で作る機会も少なくなってきているようです。茹で大豆を潰すにしろ、乾燥を戻して使うにしろ、ある程度手間のかかる料理であるからかもしれません。今はもっぱら、学校給食などで時折目にする呉汁。子供たちにも、呉の優しい甘みを知って大人になって欲しいものです。

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