利根川が育んだ豊かな土壌で育つ深谷ねぎ

埼玉県北部に位置する深谷市では、利根川沿いの肥沃な土壌を活かして、深谷ねぎの生産が行われてきました。大消費地の首都圏に位置していることもあり、現在では全国1位の生産量を誇っています。収穫期は夏と冬の2回に分かれるため、季節ごとに違った味わいを楽しむことができます。

深谷ねぎの味わいが素晴らしいのは、利根川が運んだ土壌には豊かな栄養分が含まれるためです。現在のように堤防が築かれる前には、利根川は何度も氾濫して、深谷市北部の低地に肥沃な土を堆積させました。この土に対して、火山灰を基原にする関東ローム層も混ざることで、水はけのよい土壌も作られています。

深谷ねぎの需要が冬の時期には最盛期を迎えるのは、寒さの影響で甘味が増して、鍋料理の素材として最適になるためです。赤城山の方向から冷たい空っ風が吹き下ろすと、ねぎは寒さから身を守るために糖分を産生するため、とろけるような甘さの深谷ねぎになります。この寒さも極端になれば傷ついてしまうため、ちょうどよい温度になっていることを意味しています。

地元の深谷市では、鍋料理の他にも多彩な料理で深谷ねぎを使う伝統があります。平たいうどんを使った煮ぼうとうには、甘味が強い深谷ねぎが欠かせません。深谷ねぎを使ったフライは、お好み焼きとクレープの中間のような料理で、こちらも豊かな甘味が特徴です。深谷ねぎを直火で炙って食べる方法はシンプルですが、極めて豊かな甘味があり、冬には風邪の予防にも役立つために人気です。