
〆はリゾットに! 名古屋人が喜ぶツボをおさえた「味噌煮込みハンバーグステーキ」 豆味噌を使った料理で、名古屋人のいちばん身近なものといえば、味噌汁、いわゆる赤だしだろう。
麦味噌や米味噌の味噌汁と違って、赤だしは具を選ばない。
とくにアサリ汁や豚汁は赤だし以外に考えられない。
しかも、煮込めば煮込むほど旨くなるのだ。そんな赤だしの特性を生かしたのが名古屋めしの一つ、「味噌煮込み」だろう。
今回紹介するのは、うどんではない。
ハンバーグである。
地下鉄桜通線吹上駅からほど近い『和魂洋食 朋』の「味噌煮込みハンバーグステーキ」(180グラム・1340円)だ。
このメニューが赤だし最強説を実証している。
名古屋市内のハンバーグ専門店や洋食店の中には、味噌仕立てのソースを使ったハンバーグを出す店もある。
とはいえ、デミグラスソースに隠し味としてくわえている程度で、言うほど味噌を感じないのである。
洋食という枠から飛び出せないのか、それとも洋食の料理人としてのプライドが邪魔をしているとしか思えない。
一方、ここの「味噌煮込みハンバーグステーキ」は、この見た目もさることながら、味も名古屋人が食べ慣れた味噌煮込みのつゆそのものなのだ。
「豆味噌をベースにブレンドした味噌に鰹の一番だしを合わせていますから、おっしゃる通り、ほとんど味噌煮込みうどんのつゆですね(笑)」と、店主の藤本幹人さん。
ハンバーグをナイフでカットすると、溢れた肉汁がつゆに染み出す。
だしのベースとなる鰹節と肉の旨み、そして豆味噌のコクが掛け合わされて、めちゃくちゃ旨くなる。
つゆがどんどん旨くなることこそ、このメニューの醍醐味である。
が、ハンバーグそのもののクオリティが高くなければ、こうはいかない。
それこそ、外国産の安い牛肉を使っていたら、もっとしつこい味になるだろう。
「ハンバーグに使う挽き肉は、宮崎県産の黒毛和牛と愛知県産の豚です。
やはり、脂の口溶けがまったく違います」(藤本さん)とか。
〆のため、つゆ(ソース?)は必ず残しておくべし! しかし、ご飯に合うからといって、一気に食べてしまってはいけない。
少しだけ残しておくのがポイントだ。
ハンバーグを食べ終った器に投入してリゾットにして〆るのだ。
これがもう、悶絶するほど旨いのである。
名古屋人が喜ぶツボをおさえまくった「味噌煮込みハンバーグステーキ」、是非お試しあれ。
和魂洋食 朋
愛知県名古屋市昭和区折戸町2-20
[TEL]052-734-8285
[営業時間]11時半~14時半(14時L.O.)、17時~22時半(21時半L.O.)
[定休日]月(祝日の場合は営業、翌火休)
永谷正樹(ながや・まさき)
1969年生まれのアラフィフライター兼カメラマン。名古屋めしをこよなく愛し、『おとなの週末』をはじめとする全国誌に発信。名古屋めしの専門家としてテレビ出演や講演会もこなす。