
肉と衣の隙間をチェックすべし!
飯「とんかつとひと口に言っても、豚肉の種類に衣、揚げ油やその温度、揚げ方、蒸らし加減など、店によってさまざま。それぞれに技や工夫が尽くされていましたね」
武「そうそう。今回洋食屋も調査しましたが、パン粉や油へのこだわりを見るにつけ専門店の素晴らしさを痛感せずにはいられなかったです」
飯「とんかつは緻密な技によって仕上がるものだと実感しました。それで意外とポイントになってくるのが、肉と衣の密着具合。衣が肉から離れてしまっているとすごく残念ですよね」
武「あれは、揚げている途中で肉の水分が飛び、肉が縮んで衣と離れてしまうからだそうですよ。少なくとも肉と衣がしっかり密着している店は、カツを揚げるに際して結構心を砕いているような気がします」
飯「豚の銘柄うんぬんよりも、見極めるべきはそんなところなのかも。それと、火入れ加減も重要。牛カツのようなレアさをウリにした新店も増えているけど、レアと赤身の残ったピンク色は全く別物ですよね。例えば、秋葉原の『丸五』や池上『燕楽』などは、蒸らしまで計算し尽くして火を入れつつ、柔らかさを保ってしっとり色づいている。その絶妙さに私は惹かれます」
燕楽 ロース定食
武「僕もです。で、衣はさっくりとしていて、食感のコントラストが楽しめるとうれしい。油っぽい衣で、かつの裏側が肉の湯気で湿っていたりするとテンションが下がります」
飯「確かに。逆にパン粉が大きく衣がザクザクし過ぎて口に刺さってしまう店も(苦笑)」
武「それも嫌! 個人的には肉の邪魔にならないきめ細かいパン粉が好きなんですが、粗めのパン粉でも軽やかに揚げている店は、衣の主張がうるさくなく美味しかったですねえ」
飯「本当に、バランスって大切。それにとんかつにはキャベツが付きものだから、そういう脇役に気を配っているかどうかも見ておきたいところです」
武「旨い店は、キャベツにご飯、味噌汁などもいいんですよね。接客もしかり。恵比寿にある人気店『S』は、店主の眉間にずっと深いシワが刻まれていて……。不機嫌な顔を向けられながら食べたら美味しさ半減でした」
飯「そんな店、私もありましたよ。浅草橋の『M』なんですが、店のルールがやたら多くてお客さんが店主に気を遣って食べている感じ。味は良かったけど、気持ちの良い食事とは言えないなあっと」
武「店を見極める法則として、基本ですが接客や店全体の空気感も大事ですよ」
飯「いい店は、たとえ古くても清潔感がありました。油で汚れやすいはずですから、しっかりと掃除が行き届いている証拠かと。店の誠実な姿勢が味に現れるものなんだと思います」
丸五|老舗の技が光る、軽妙なるとんかつと気持ちよい接客(とんかつ/秋葉原)
https://matomeshi.jp/articles/441
「燕楽(エンラク)」のとんかつは、丁寧で誠実な仕事が生む絶妙な火入れに唸る!(とんかつ/池上)
https://matomeshi.jp/articles/442