
駅直結&すぐの駅ビルと百貨店の寿司店を担当したのは編集 戎誠輝(以下戎)とライター 松岡芙佐江(以下松)です。
さて、覆面調査を始めると、こんな傾向が見えてきました。
戎「チェーン店が多いからか、ファミリー向け、万人に愛される雰囲気の店が多いですね」
松「ええ。お決まりのネタにサーモンが入っていたりと、格式張らない店が多いです」
戎「お腹いっぱいになるよう、シャリもそこそこ大きいですし」
松「どの店もネタは美味しかったですよね」
そう、今回は2500円〜3000円の夜のお決まりを中心に調査したので、ネタはどこも安定していましたが、問題はシャリ。
戎「冷えていて固いような」
松「塊っぽくなっていませんか?」
こんなことが何度もあったのです。
そんななかで白眉だったのが『鮨処 銀座 福助 新宿小田急店』。
「おまかせにぎり 岬」(3240円)を注文してみる。
写真:おまかせにぎり 岬 3240円
中トロ、梅真鯛、アオヤギ、大エビ、カンパチなど料理長おまかせの寿司10貫に、なんでも好きなものをプラス1貫選べる。大トロやウニが人気。かに椀付き出典: https://matomeshi.jp/articles/212
にぎりは一見大きめだが、口に入れると意外やふんわり。
そうしてネタとシャリが一体となって喉の奥に消えていった。
松「バランスが絶妙!」
また、どれでも好きなものを一貫注文できるサービス付きなのもいい。
どれを選ぶか迷っていると、食べ終わってから改めて注文してもOKとのこと。
なんでも「さっきのお決まりで食べたネタが美味しかったからもう一貫」という粋な注文をする客もいるとか。
我々は結局、戎「イクラも美味しかったけど、やっぱりアワビ」
松「私はウニ」
と高額ネタを選択しましたが、快く受けてくれました。
百貨店内の店にも関わらず常連さんが多く、開店直後から客が次々と来店していました。
鮨処 銀座 福助|常時50種以上揃う厳選ネタに舌鼓を打つ(寿司/新宿)
https://matomeshi.jp/articles/212
『築地すし好(こう) アキバ・トリム店』も、にぎりをひとつ口にしたところ、口中で崩れるシャリの加減がいい。
写真:特選にぎり 2500円
一番人気のメニュー。中トロ、鯛、アジ、ズワイガニ、生ホタテなど10貫と玉子のセット。巻物はイクラ鮭ハラス巻出典: https://matomeshi.jp/articles/213
天然マグロの酸味やホタテの甘みと混じり合い、するする胃に収まっていく。
聞けば、まとめ炊きを控え、一日に何回も仕込むのだとか。手間を惜しまぬ姿勢に感服です。
築地すし好|旬を見極めた素材を寿司と一品料理で楽しむ!(寿司/秋葉原)
https://matomeshi.jp/articles/213
『梅丘寿司の美登利(みどり) 総本店 渋谷店』のカウンターについたら、なんと周りは外国人ばかり!
写真:板さんおまかせにぎり 3024円
まずは、鯛や赤貝、ツブ貝、アン肝などのにぎり9貫と玉子がスピーディに出される出典: https://matomeshi.jp/articles/217
大甘エビとズワイガニのにぎり。そして〆は一本穴子と手巻き。このほか、茶碗蒸しやサラダ、味噌汁、デザートがつく出典: https://matomeshi.jp/articles/217
アメリカ、イタリア、韓国、フィリピンなどから来ていました。
松「板前さんが、とにかく明るい。英語でネタを説明したり、韓国語でお礼を言ったり」
戎「シャリの酢の加減が控えめなのも、食べやすくて人気なのかもしれませんね」
梅丘寿司の美登利 総本店 渋谷店|行列必至!特大ネタが日本人にも外国人にも大人気(寿司/渋谷マークシティ)
https://matomeshi.jp/articles/217
都内に10店以上ある『築地寿司清(せい)』は東京駅にある店舗へ。
写真:特選 2570円
旬の光り物を〆たネタや鯛などにぎり9貫と鉄火巻き3個。シャリは小ぶりですっきりした後味だ。2500円台のにぎりでウニが盛り込まれる店は貴重。茶碗蒸しと味噌汁付き出典: https://matomeshi.jp/articles/214
「特選」(2570円)をいただくと、ちょっと小ぶりだが、丁寧な仕事が感じられる江戸前寿司。
となりのテーブルには外国人カップルが。
店員は女性に英語のメニュー表を渡し、ちらしに醤油をかけるか迷っている男性ににこやかに説明している。
どんなお客様にも楽しい時間をという、もてなしの心が、どちらの店からも感じられました。
「築地寿司清」は江戸前の伝統と技術を惜しみなく提供してくれる良店(寿司/丸の内)
https://matomeshi.jp/articles/214
駅ビル内は大手チェーン店ばかりなのかと思いきや、そんなことはありません。
『すし京辰(きょうたつ)』は全5店。
店舗によりメニューや味付けも異なると知り、2カ所訪ねてみた。
東京駅八重洲口店のお決まり「京辰」(2600円)は、大間のマグロ、金樽鰯(きんたるいわし)など希少ネタが入ったもの。
シャリは赤酢使用で酸味が強く、小ぶりだった。
松「もう少し量があればなあ」戎「つまみと酒を楽しんだ後に食べる寿司という感じですね」
恵比寿店は、シャリの大きさも程よく、赤酢のきき具合もまろやか。築地の仲卸『石司(いしじ)』で仕入れるという店自慢のマグロも風味豊かで、個人的には恵比寿店が好みでした。
写真:旬にぎり 2214円
イサキやヒラマサ、ホタテなど8貫に巻物1本付き。このほかにお椀がつく。ランチメニューのため11時〜16時まで注文可能。夜はおまかせにぎり3294円〜、ちらし1674円〜など出典: https://matomeshi.jp/articles/215
「すし京辰」は支店ごとに味わいが異なる職人の裁量が光る希有なチェーン(寿司/恵比寿)
https://matomeshi.jp/articles/215
有楽町の交通会館にある『照鮨(てるずし)』は、夜は夫婦で切り盛りする個人店だ。
常連さんにまぎれてテーブル席につき、「上にぎり」(3024円)を注文すると、寡黙そうなご主人が黙々とにぎり始めた。
写真:上にぎり 3024円
シャリが赤酢でうっすらと染まるにぎり。手前の一皿目は、中トロ、車エビなど。奥の二皿目は、海苔がパリパリのウニの軍艦や煮ホタテなど。内容は仕入れによって変わる出典: https://matomeshi.jp/articles/216
まずは6貫、皿を差し出しつつ奥さんが「まだありますからね!」と明るく声をかけてくれた。
寿司のネタはどれもつややか、赤酢のきいたシャリで味が締まって美味。
そして、いいタイミングで二皿めを出してくれた。
松「軍艦の海苔がパリパリ!お好みでなくてもにぎりたてを食べられるっていいですね〜」
照鮨|昭和21年創業の寿司店、二代目店主が赤酢のシャリをにぎる(寿司/有楽町)
https://matomeshi.jp/articles/216
本記事でご紹介した店は、どれも駅近で便利かつ美味しい。
さらにひとりでも安心して入れる気安さを持ちつつ、素敵なサービスで客をもてなしてくれる良店ばかりです。(松岡芙佐江)