お花見の席欠かせない蟹 青森県「トゲクリガニ」

一般的にカニの旬といえば寒い季節ですが、青森には、桜の季節に旬を迎える大人気のカニがいます。それが「トゲクリガニ」。桜の季節に旬を迎えることから「花見ガニ」「桜ガニ」とも呼ばれ、お花見の席には欠かせない存在で、長らく青森県民に愛されてきました。

トゲクリガニは毛ガニと同じくクリガニ科のカニ。サイズは毛ガニよりもかなり小さめで、大きいものでも350グラム、小さいものでは150グラム程度と、簡単に片手に収まるサイズです。しかし、大きさこそ毛ガニに負けるものの、味わいは毛ガニを上回る美味しさがあります。実際に青森の人に聞いてみれば「毛ガニよりもトゲクリガニのほうが美味い」と断言することでしょう。

トゲクリガニの一般的な食べ方は茹でガニ。丸ごと一杯を茹でます。もちろん小ぶりなので一杯の身の量はそれほどでもありませんが、味は非常に繊細でうま味たっぷりです。しかしトゲクリガニの本当の楽しみは身ではありません。トゲクリガニが青森の人々の心をつかんでやまない秘密は「内子」です。内子とはつまりカニの卵。ぽくぽくした口当たりのよいオレンジ色の卵は旨みがぎゅっと凝縮されて、お酒の肴やご飯のおかずはもちろん、そのまま食べてもカニの本来の魅力が堪能できます。また、毛ガニの場合、資源保護の立場からメスは禁漁。つまり、カニの内子を味わえるのはトゲクリガニだけです。まさに青森の至高です。

トゲクリガの季節は春先のごく短い期間。青森県内の桜の名所、弘前公園ではトゲクリガニを肴に春の訪れを楽しむ人々の姿を見ることができます。通販などで販売されることもありますが、やはりトゲクリガニを味わうなら本場の青森にかなうものはありません。桜の季節に青森を訪れたなら、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。

[写:寅次郎@fliker]

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