あえて「闇肉」と強調し注意を…-ジビエの食文化地方を発信 椿説屋・河野広介さん②-

東京都品川区にインテリアを主軸にライフスタイルの小売事業などを展開している株式会社アクタスが運営しているレストラン「SOHOLM」があります。「SOHOLM」では、しっかりとしたトレーサビリティのもと、全国の狩猟者が捕獲した鹿やイノシシなどといったジビエ(狩猟で得た野生鳥獣の食肉)を取り扱った料理をメインメニューのひとつとして2014年の開業以来提供しています

健康食材として注目を集めているジビエですが、一般の食卓にまだ馴染みがありません。全国の中山間地域における農林業の被害の問題でも注目を浴びる中、ジビエは臭い、硬いといった消費者の思い込みや、食肉用としての解体処理や衛生管理の方法などが各地域・自治体によってばらつきがあるなど、色々な課題があります。

そこで、株式会社アクタスならびにSOHOLMでは、少しでも一般家庭に普及することを望み、食肉流通としてのジビエの普及を支援しているパートナーと協力し課題に取り組んでいます。今回THE Newsでは、パートナーのひとりである大分県由布市・長崎県島原市で活躍している河野広介さんにお話を伺いました。

■ジビエを一般家庭に普及させるための今後の課題


※イノシシ枝肉

河野さんによると、「衛生管理の行き届いた食肉処理施設において精肉されたもの以外のジビエ流通の取り締まり」は、ジビエを一般家庭に普及させるための優先課題ということです。自家消費ではなく、食肉販売して一般家庭で消費するということを考慮すると、猟師が獲って食肉処理業の許可なく精肉したジビエは、衛生面や食の安全・安心の面で、非常にリスクが高いと言わざるを得ないということです。
河野さんはあえてこうした食肉を「闇肉」と強調し、注意を促します。また、充分な加熱調理の必要性など、基本的な調理に関する情報も必須ということです。こうしたリスクを避け、一般の家庭に届けるのであれば、事業者が加熱調理した「加工品」などで、ジビエを安全に食べるのが良いということです。

■河野さんが皆さんにおすすめしたいジビエ料理は?

河野さんのおすすめのジビエ料理の食べ方は、炭火で焼いて、塩やわさび醤油でシンプルに食べることだと話しています。鹿も猪も、肉の味わいがしっかりとしているので、最も「山の、天然の肉を食べているな」と満足感が得ることができる食べ方です。また、猪は1.5mmくらいのスライスにしてしゃぶしゃぶにし、もみじおろしで食べるのもおすすめだそうです。大分県でしたら、これにカボスを絞ると「最高」なのだといいます。


※加工の様子

■「食べるために獲る」になるような事業を

東京で育った河野さんですが、この仕事を通じて、「獲った獣の肉を食べ、自分の命の糧にして繋ぐということは、単純で尊い営みだ」と強く思ったと述べています。しかし、現状は鳥獣害の深刻さから、致し方なく、「獣の命を奪うためだけに、獲る」という猟になってしまっているといいます。事実、日本の鳥獣害対策で捕獲されたうちのわずか数%しか食肉として流通せず、捕獲されたほとんどが破棄されています。河野さんたちは、「食べるために獲る」になるような事業を、中山間地域発の事業として作り上げて行きたいと考えています。
こうした事業を通じて、子ども達には「食べ物がどこから来るのか」「何を食べて生きていくのか」という食育を、そして大人達には、農林業への被害も含め、中山間地域が抱える現状を知ってもらいたいということです。

また、株式会社アクタスによると、10月14日(土)より同社が持つストアブランド「SLOW HOUSE」「ACTUS」の一部の店舗、アクタスのオンラインサイトを皮切りとした、今回お話をうかがった河野さんと共同開発のジビエカレーを販売していくということです。

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「SOHOLM」公式ページ http://www.soholm.jp/
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