世界に誇れる蒸留酒「古酒(クース)」

世界中で愛される蒸留酒と言えばウイスキー。そして、5大ウイスキーといえば、スコッチ、アイリッシュ、カナディアン、バーボン、ジャパニーズです。今でこそ日本のウイスキーも、5大ウイスキーの一つとして数えられるようになりました。これは日本の蒸留酒文化が世界に誇れるレベルまでの成熟を意味しています。このような、世界に誇れる酒文化を生んだルーツを語るうえでは、沖縄の泡盛は欠かせません。素晴らしき泡盛、そして泡盛の熟成酒である古酒(クース)について紹介します。

沖縄の泡盛の歴史は、東南アジアから伝えられたタイ米の文化から始まります。15世紀頃、琉球王朝はタイをはじめとした東南アジア各国との交流が盛んでした。そのような中で、現地タイで飲まれていたタイ米の蒸留酒「ラオ・ロン」が海を渡り、沖縄に広く伝わったものといわれています。泡盛という名前の由来についても、諸説ある中で「泡をもって(盛って)酒のできを判断する」というアジア各国の習慣によるものが有力です。沖縄に渡った泡盛の技術が次に鹿児島の芋焼酎文化へとつながり、全国各地でそれぞれの風土に合った焼酎作りへと広がっていきます。

こうした、蒸留酒の製造技術が日本の職人を育て、少なからず、後々の世界に誇るウイスキーの完成にひと役買っているといえるでしょう。泡盛は、沖縄で生活する人々にとって無くてはならないものです。祝いの席や人が集まるときに、泡盛は必ず飲まれます。島唐辛子を泡盛に漬けた「こーれぐーす」は有名です。豚足や豚バラ肉を煮込む際にも、泡盛は絶対に必要な調味料といえます。この泡盛を長期熟成させたものが古酒(クース)です。本来、無色透明の泡盛も熟成により、ほんのり黄金色に色づきます。香りや味わいもまろやかになり、一回りも二回りも美味しくなった泡盛はジャパニーズウイスキーに勝るとも劣らない、世界に誇れる蒸留酒と言えるのではないでしょうか。

[写:筆者撮影]

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