仙台市で漁業就業支援イベント 就業者確保に繋がるか

宮城県の水産業界は新たな担い手となる人材を求めています。9月2日宮城県と県漁業就業者確保育成センターが主催する「2017漁業就業支援フェアin仙台」が開催されました。県内の12の企業や団体が参加したイベントには、全国から80を越える男女が訪れ、出展団体のブースで仕事の待遇や条件等の具体的な話をしたり、トークショーで未経験から漁師になった人の体験談に熱心に耳を傾けていました。

宮城県は、複雑に入り組んだリアス式海岸を含む約828㎞もの海岸線と、沖合いで親潮と黒潮のぶつかる好漁場を有する全国有数の水産業の盛んな県です。沿岸部でのカキ、ノリ等の養殖の他、採介藻漁業をはじめとする沿岸漁業、棒受網や底引き網等の沖合い漁業といった様々な水産業が発展してきました。しかし現在、宮城県の漁業就業者は年々減り続けています。県の推計によると2013年に6516人いた県内の漁業就業者は30年後には半数以下の約3000人まで減少する見込みだということです。原因には11年の東日本大震災の影響の他にも、以前から次第に進行しつつあった就業者の高齢化や次代の担い手不足等が挙げられています。

同フェアは、このような水産業の衰退に歯止めをかけるべく、学生や未経験者、家族連れも歓迎、入場無料、服装自由、履歴書不用等をうたい、漁業への就業に少しでも興味を持った人が気軽に来場できる会場作りが試みられました。来場者は40代の男性が中心でしたが、女性や来春高校や大学を卒業予定の若者も訪れています。

近年の漁業就業者数の減少は、宮城県だけにとどまりません。農林水産省の統計によると、13年に日本全国に約9.5万あった海面漁業経営体数は16年には約8.2万に減少しており、それに伴い全国の漁業就業者数も17.4万人から16万人と大きく減少しています。また、いずれも65歳以上の高齢者が5万人以上を占めており、就労者の高齢化も問題です。日本の水産業において後継者の育成や新規就業者の確保が求められる中、水産県宮城のこれからの取り組みが注目されています。

[写:Tony Tseng@flickr]

externallinkコメント一覧

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)