持ち帰って供養されたため頭部が欠けた仏像たち 千葉県の鋸山「東海1500羅漢」

千葉県の鋸山(ノコギリヤマ)は房総半島の南部、千葉県安房郡鋸南町と富津市の境に位置する標高329mの山です。江戸時代から昭和までに良質な石材を生んだ石切場があり、採石の結果、山がノコギリの刃のように見える形状となり、東京湾に入る船の目印にもなって、ノコギリ山と呼ばれるようになったということです。

鋸山にはいくつか代表的なエリアに分かれており、今回は羅漢エリアをご紹介します。羅漢エリアと言われるところは、円仁(慈覚大師)、空海(弘法大師)などの名僧が修行に訪れたと伝えられています。

このエリアには「東海1500羅漢」と呼ばれる羅漢がおよそ1553体ります。太古よりの風蝕によってできた奇岩霊洞の間に安置されています。これらの仏像は1779年から21年間をかけて、上総桜井の名工・大野甚五郎英令が、門弟27名と共に作りあげたものです。しかしその多くの像には、頭部がないものが多いいのですが、これは明治維新の廃仏毀釈の際に壊されてしまったためということです。いくつかは、修復されていますが、そのままになっているものも多くあります。

また、頭部が欠けてしまっているもう一つの理由として持ち帰られてしまったという説があります。「東海1500羅漢」はどれ一つとして同じ顔の羅漢がないといわれており、好きな人と同じ顔の頭を持ち帰って供養すると願いが叶う、という迷信があったということです。ちなみに筆者が訪れた際には見知った顔はありませんでいた。

これらの仏像を全て見ようとすると、登山というほどではありませんが、多少の階段を昇り降りしなくてはいけません。秋がもう少し深まり、涼しくなった頃に、知った顔を探しにお散策してみるのもいいですね。
(※見つけても持ち帰らないようにお願いいたします。)

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