美味いし車両も面白い! 「レストラン列車」5選 JRから私鉄、三セクも負けてない!

列車内で食事を楽しむことをウリにする「レストラン列車」。専用車両を仕立てるなど各社が力を入れる領域ですが、中でも特にクオリティが高いと思われる列車5選を紹介します。

食事できる列車にも色々ある

 日本は世界一、観光列車が走る国でしょう。特に「地域の食材を使い、食と列車の旅を楽しむ」観光レストラン列車は、今やローカル鉄道の看板列車にもなっています。  こうした「レストラン列車」は、基本的には予約制であり、当日利用はできない列車です。数千円~3万円程度の価格帯で、運賃と食事料金がパッケージされています。

 料理をウリとする、現在のようなレストラン列車は1987(昭和62)年、明知鉄道が「ヘルシートレイン(寒天列車)」を走らせたのが始まりで、当初は通常の車両にテーブルを持ちこむ列車が主流でした。2013(平成25)年、肥薩おれんじ鉄道が専用車両を投入した「おれんじ食堂」を運行した頃から、豪華な内装で、有名料理人(多くは地元出身をウリにしている)による料理を提供する、地域の看板列車としてのレストラン列車が増えていきました。 なお、近畿日本鉄道の観光特急「しまかぜ」「あをによし」「青の交響曲」や、JR東日本「サフィール踊り子」、JR九州「36ぷらす3」のように、定期特急列車に食事ができる食堂車を連結したスタイルもあります。さらには贅を尽くした超高級料理を提供するクルーズトレインもありますが、今回は「予約制レストラン列車」「特急食堂車」の中から、筆者(安藤昌季:乗りものライター)が特に魅力的と感じる5つの列車を取り上げます。■西日本鉄道「レールキッチンチクゴ」 北九州を走るレストラン列車です。西鉄天神大牟田線の福岡(天神)駅を出発し、花畑駅で折り返して福岡(天神)駅に戻る「アーリーランチ」と、福岡(天神)駅から大牟田駅までを目指す「レイトランチ」が設定され、料金は1万1800円(子ども6000円)です。特筆すべきは木、金曜日でも設定があることです。 内装は抜群にオシャレで、街中の高級レストランにいるかのよう。料理も非常に水準が高く、満足できる内容です。おもてなしの密度と料理を出すタイミングには、ややチグハグさを感じましたが、そこが改善されたならトップクラスの列車に成り得ると感じました。

のと鉄道「のと里山里海」

 能登半島を走るレストラン列車です。七尾~穴水間を運行しており、土日祝のみですが、七尾発の「のと里山里海3号」で「寿司御膳プラン」(2500円)、穴水発「のと里山里海4号」で「スイーツプラン」(1800円)を提供しています。3号で行き4号で帰れば、両方を体験できます。

 寿司御膳プランでは、能登の新鮮な魚介類を使った寿司を、名店「信寿司」が握った寿司弁当やデザートで供されます。その水準は非常に高く、クルーズトレインに引けを取らないと感じます。 著名バティシエ・辻口博啓氏が手掛けたスイーツプランも見逃せません。運行車両には派手さはありませんが、地域の工芸品も楽しめ、景色も抜群。心こもったおもてなしや気遣いにも感心しました。■えちごトキめき鉄道「えちごトキめきリゾート雪月花」 新潟県の妙高高原~直江津~市振間を運行するレストラン列車です。時期ごとにきめ細かくコースを変更するので、目が離せません。これまではしなの鉄道やJR只見線、大糸線などに乗り入れたこともあります。 車両は建築家の川西康之氏が手掛けており、個人的感想としては「トロッコ列車より解放感がある」超大窓を備えた室内からの景色は、最高の一言です。座席もオリエント急行を参考にしたもので、素晴らしい座り心地です。 料理は器も含めて素晴らしく、おもてなしのオプションが用意されているなど、乗客にあったカスタマイズができるところも高く評価できます。料金は2万7800円(お土産付きは3万2800円)とレストラン列車の中では高めですが、納得できるクオリティはあると感じます。 運転席後ろは、運転台越しの展望を独占できる個室となっており、1~4人で利用できます。ここは追加料金として1室1万5000円かかりますが、本当に特別なひと時を過ごせます。

近畿日本鉄道「しまかぜ」

 定期特急列車の車内で、予約なしで料理が楽しめる「特急食堂車」のスタイルを受け継ぐ希少な特急列車です。カフェ車は2階建て。景色がよい2階席と、乗り心地がよい1階席を自由に選べます。松坂牛カレーや松坂牛重といった料理は暖かい状態で提供されます。特に、スイーツセットは言葉を失うほどの美味。 カフェ車以外の客室も非常に快適で、車窓も変化に富んで美しく、間違いなく“推せる”観光特急です。

■JR四国「伊予灘ものがたり」 JR四国には、レストラン列車として「ものがたり列車」が3種類走り、どれも劣らぬ素晴らしい列車ですが、ここでは代表格の「伊予灘ものがたり」を挙げます。 松山~八幡浜・伊予大洲間を基本とし、時期によっては延長運転もするスタイルですが、なんと1日に「大洲編」「双海編」「八幡浜編」「道後編」の4便が走り、かつそれぞれ料理が異なります。 車両は自社デザインですが、そのデザイン性は高く、著名デザイナーの手掛けた列車に勝るとも劣りません。特に3号車「陽華の章」は、1車両すべてがひとつの個室「フィオーレスイート」となっており、クルーズトレインを除けば日本一の専有面積を誇ります。 特筆すべきは予約制食事料金が安いことです。「大洲編」が3000円、「双海編」「八幡浜編」が5500円、「道後編」が3500円です。運賃・料金は別ですが、最長の松山~八幡浜間で利用しても合計1万円以下となり、大変リーズナブルです。お安くても食事の質はトップクラス。きめ細かいおもてなしと素晴らしい風景とで、列車の旅を心から楽しめます。 なお「フィオーレスイート」は個室料金1室3万3600円と高額ですが、最大8人で乗車できますので、8人グループなら1室4200円と割安感があります。専任アテンダントが添乗し、ウェルカムドリンクや陶器のカップを選べるなど特別なサービスもあります。

externallink関連リンク

【高級レストラン並み…!】列車でのメニューを見る(写真) 各駅停車で385km、8時間21分「日本一長い鈍行」 ひとつはもう乗れない可能性 特急の運転士はベテランなのか? 普通列車と特急 運転が難しいのはどっち?
externallinkコメント一覧

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)