
カレーライスに入れる具といえば、まずどんな食材を思い浮かべるでしょう。一般的なのが牛肉や豚肉、イカやエビという家庭もあるかもしれません。しかし、南房総市の最南端の街、白浜で最も人気なのは「さざえ」です。
サザエ料理というと、つぼ焼きや刺身などが代表で、高価なイメージがあるかもしれませんが南房総市白浜地区の「さざえカレー」は贅沢品ではなく、ごくごく生活になじんだ家庭の味です。南房総市白浜地区では、各家庭それぞれにおふくろの味や秘伝があると言われています。
さざえカレーが南房総市白浜地区の家庭の味として定着したのは戦後のことです。当時、誰でも簡単にカレーが作れるカレールーが数多く販売されていましたが、牛や豚などはまだまだ高価な時代だったので、海に面した南房総市白浜地区の人々が目をつけたのが、さざえです。
もともと、あわびとならんでさざえは白浜地区の名産品のひとつで、あわびと比べるとさざえは獲るのも比較的簡単です。当時は非常にさざえが豊富に獲れたこともあり、夕食前には子どもたちが海岸や磯に出かけて、その日の食材を調達するといった姿も珍しくなかったといいます。
さすがに現代ではそのようなことはなくなりましたが、他の地区に比べてさざえが安価で身近な存在であることに変わりはなく、今でも昔ながらの味として親しまれています。
現在、南房総市では町おこしの一環として地元の食材を使ったオリジナルカレーの開発を行い、そこでさざえカレーは味わえるほか、市内の飲食店でも提供されています。
[写: zalmoku_woodplle@fliker]