天然アユ豊漁による卸価格暴落の余波

2016年、高知県の天然アユは未曾有の不漁でしたが、2017年には一転して各河川、豊漁に沸いています。一般の釣り人や、川漁師たちが直接あるいは地元荷主を通じて市場に卸しています。

天然アユの卸価格は例年ですと6月の解禁から一か月あたりは釣りものは1キロ当たり5000円から7000円で取引されます。7月からお盆の手前までは4000円から5000円相場で、お盆明けから3000円から4000円、サンマが入荷し始めると3000円前後と推移します。ところが2017年には異変が起きました。7月中旬に火振り漁が解禁すると天然アユの入荷量が一気に増し7月下旬には釣りものが1キロ3000円、火振りの網ものは1500円から2000円と安値での叩き売り状態になり、お盆前には釣りものが1キロ2000円、網は1000円という捨て値になってしまいました。

このような価格になったことからお盆明け以降、天然アユの入荷は激減しました。原因は河川によって地元漁協や公共関係施設が高値で買い取り、市場に卸さず現地で売って帰る釣り人が増えてしまったためです。買い取り価格は市場の2倍以上となりました。

高値買取は漁協関係などが行う地産外商事業での県外発送や、ふるさと納税返礼品事業などで、鮮度の良い綺麗な釣りものの天然アユのニーズが高まっていることから始まりました。

市場が衰退している状況下、天然アユもその波に巻き込まれ市場流通から離れ始めました。この状態が続くと必要な時に市場に天然アユが集まらないという事態が起こり得ます。

[写: yoppy@fliker]

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