鹿児島県の「とんこつ」

黒豚の里、鹿児島県ではこのイメージに違わず、鹿児島県民は様々な豚肉料理を食べ、日常生活に取り入れています。その中でも、家庭で作る豚肉料理で定番中の定番と言えば「とんこつ」です。「とんこつ」と言われると、料理名としてはピンと来ない方が多いと思います。「とんこつって、豚肉の肉の部位の名前?」「豚骨ラーメンみたいに、豚肉の骨の事?」など確かに一般的に豚骨と言えば豚肉の骨の事、ラーメンスープに代表されるように、濃厚な乳白色のダシを取る為の部位です。

しかし鹿児島県では違います。鹿児島県で「とんこつ」といえば、豚肉のあばら骨付きのお肉、一般的にはスペアリブと呼ばれるお肉の事です。また、スペリアブを焼酎と醤油、砂糖などで甘辛く、かつ柔らかく煮込んだ料理の事自体を「とんこつ」と呼びます。「とんこつ」という材料の名前をそのまま料理名にされるだけあって、「とんこつ」の作り方はシンプルでとても簡単です。

買ってきた生の豚骨肉を茹で、焼酎、砂糖、醤油で甘辛く柔らかくなるまでコトコト煮込むだけです。また、調理法はそれぞれの家庭によって違いがあります。下茹でしてから調味する、砂糖の代わりに黒砂糖で味付けする、ショウガやネギなどを香味野菜として入れるなど様々です。その中でどの家庭にも共通していることは、豚の角煮と違って汁気たっぷりに仕上げる事と、甘みが強く醤油の塩分は思った以上に強くない味付け、そしてとんこつ肉と一緒にダイコンやニンジン、ゴボウなどの根菜と一緒に煮込むという事です。根菜がとんこつのダシをたっぷり含んで肉に負けない存在感を出します。

鹿児島県の居酒屋や家庭料理のお店では必ずと言っていいほど目にする「とんこつ」という名の小鉢料理は意外と思われがちですが、鹿児島県民は外食で決して注文しません。とんこつは家庭で作るもの、家庭の味がとんこつだと信じて疑っていません。

[写: Jeffreyw@fliker]

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