
年末年始恒例の不正改造車や暴走の取締りが各所で行われました。しかし、その現場はかつてと比べて静かな雰囲気に包まれ、摘発車両も激減。「実態に応じた取締りが難しくなっている」と警察関係者は話します。
摘発される不正改造車は激減 バレてる…?
大みそかから元旦にかけ、不正改造車や速度違反などの取締りが各所で行われました。そうした毎年恒例の取締り現場はかつてと比べて、驚くほど静かな雰囲気に包まれています。
首都高速都心環状線の白魚橋駐車場(中央区銀座1)では、2022年12月31日23時から2023年1月1日2時までの間、警視庁と国土交通省東京運輸支局による「不正改造車等に対する取締り」が実施されました。 取締り件数は整備不良4件。マフラーから触媒を外すなどで規制値を超える騒音が検知されたケースや、型式指定で届けられた車長を超えるウイングなどを取り付けていたケースなどが主な違反理由で、改善を命じるポイントが複数あるため整備命令が6件出されました。この取締りには約40人の警察官と東京運輸支局関係者が動員されています。 この首都高速での不正改造取締りは開始からほどなく、現場付近を通行する被疑車両がほとんどいなくなりました。「SNSで情報が拡散され、実態に応じた取締りが難しくなっている」と、警察関係者は話します。 スピード違反のようなケースは、SNSで取締り情報が拡散しても、ドライバーが安全運転に留意することで事故防止につながるかもしれません。しかし、衝突時に歩行者の負傷を増大させることが想定されたり、環境規制を逸脱したり不正改造は、改善命令で是正するしかありません。 不正改造を問題にする運輸支局の関係者は「今後も警察と連携して、取締りを続けるしかない」と、話します。
かつては取締りに動員5000人 いまや激減
年末年始の取締りは、1990年代後半から2000年代前半にかけ、初日の出を見ることをゴールにした「初日の出暴走」の取締りがはじまりです。元日の夜中の首都高速は往来もまばらですが、当時は熱病にうなされているかのような喧噪がありました。数十台が1つのグループを作り、高速道路で低速蛇行運転を繰り返し、その影響で高速道路が何キロにもわたって渋滞を作ることが社会問題になっていました。 それに対して中央道八王子料金所、首都高速大黒ふ頭、山梨県河口湖周辺などに検問が設置され、警視庁ほか周辺県警もあわせて約5000人の警察官が動員されて、取締りにあたっていたのです。 検査のために誘導する警察官に対して、威嚇するようにエンジンを吹かす車両がいたり、荷台にバイクを載せて検問を突破しようとするトラックがあったり。今では考えられない緊張感に満ちた現場でした。 摘発された車両も100台単位で公表されていたのですが、今となっては、時代が逆転する可能性はほとんどありません。集団暴走に対する規制は2004年11月の道路交通法改正で強化され、それと共にグループは小さくなり、取締りの重点は単独での暴走行為や不正改造に移っています。
警視庁は2022年12月29日から2023年1月3日までの6日間を「年末年始暴走族対策」と位置付け、都内各所で延べ771人、車両359台の体制で、可搬式オービスなどを使った集中取り締まりを行いました。当時と比較すると、取締り体制はかなり縮小されています。おそらく今年も年末年始の取締りが続きます。