
中央市場は、昔から荷物を集める荷受会社が全国から魚を集め、委託販売をしていました。委託販売とは、荷主が産地の市場で買い付け、中央市場の荷受会社の担当者に希望販売価格を連絡して販売してもらうシステムで、荷受会社が販売された売り上げに対して5.5%前後の手数料を取ります。
このシステムに異変が起きたのは、委託販売手数料が自由化になった頃からでした。荷受会社によっては据え置きもあれば利率を8%前後に値上げる所もありました。荷主は値上げされると「手数料分を高く売ってくれ」と依頼しますが、実際には市場取引の減少や値上げ、赤字販売までされてしまいます。赤字になった上に手数料を高く取られるため、中央市場の委託販売から手を引く荷主が増えてきました。
売り先は、通信網の発達や配送便の発達で市場に求めなくても努力すれば作ることができます。他の販売方法を開拓した荷主たちは、「中央市場に対し買い取り条件でないと魚を送らない」と条件を出しました。買い取り条件は、荷受会社と荷主が価格を交渉し、荷受会社が買い取ります。そのため、委託販売ではなく仕入れ販売になります。
この現象は全国的に広まり、現在の中央市場の委託販売率は20%前後にまで落ち込んでいます。衰退する市場にとっては、荷主から追い打ちをかけられた状況になってしまいました。中央市場は当日入荷したものを当日売り切ることが当たり前でしたが、損をしてまで売り切ることを辞め、鮮度面でも厳しい局面を迎えています。
[写: Miki Yoshihito@fliker]