新たな福島県の名物 「イカ人参」

福島県北部には「イカ人参」という郷土料理があります。細切りにした人参とスルメを醤油をベースにしたタレに漬け込むだけと、調理方法は至ってシンプルですが、タレに酒や味醂、出し汁や砂糖、鷹の爪を加える等、それぞれの家庭ごとの味が工夫されています。

最近では、人参とスルメと一緒に昆布や数の子を加える人もいます。昆布や数の子を醤油漬けにしたものというと北海道の”松前漬け”が有名です。

江戸時代に北海道から現在の福島県伊達市梁川町の辺りに転封された松前藩の藩士達が、十数年後に再び北海道へ国替えとなった際に故郷へ持ち帰った福島県の料理が、現在の松前漬けのルーツになっていると云われています。また異論もあり、豊富な海の幸に恵まれた松前郡の海産物の塩漬けが移封の際に福島県に持ち込まれて形を変えて定着したと、「イカ人参のルーツが北海道である」と唱える人もおり、決着を見ていていません。

イカ人参は厳しい冬のシーズンの保存食として伝えられており、特に正月には欠かせない冬の定番として愛されてます。最近では、酒の肴やおかずとして年間を通して食べられるようになってきました。また以前では、イカ人参は全国的にはほとんど知られていませんでしたが、テレビで取り上げられたことによって知名度が上がり、パック詰めの他にイカ人参味の煎餅等の商品が開発されるまでになりました。

現在、地元のお土産物店では、多くのイカ人参の関連商品を見る事ができます。東北の冬の食卓を支えてきた素朴な味は、現代において郷土に新しいビジネスチャンスをもたらしているのです。

[写: Haruhiko Okumura@fliker]

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