育休明けの減給について 復帰時に利用するべきこと

産休・育休中の公的手当はかなり充実してきました。働き続けながら子どもを産んで育てるという選択肢が、取りやすくなってきています。
でも職場復帰した後、産前と同じように働けるかというと、保育園の送迎や子どもの病気で時間的制約が多いと思います。時短や仕事内容を簡単にしてもらうことを利用して、育児をこなしていくことになると、お給料が減ってしまうことになります。そんな時、利用できる制度があります。復帰後の減給や心構えについて考えてみました。

育休明けに減給になってしまったら

保険料が変わらず手取りだけが減った場合
前のお給料で保険料を設定されている場合、「育児休業等終了時報酬月額変更届」をしましょう。育児休業を終えて下がったお給料を元に、厚生年金や健康保険料、将来の年金額計算の元となる金額「標準報酬月額」が計算されます。
申し出をしていないと、標準報酬月額は9月から原則として1年間そのままの金額となっているので、復帰後お給料が下がっていても天引き額が変わらないのです。
この制度を利用すると、原則として産休が終わった日の翌日がある月から3ヶ月間の間に、実際にもらった給与を平均して3で割った金額をもとに標準報酬月額が再計算されます。そうすれば、保険料負担は下がった給与に見合った額になります。
制度の利用は会社に申し出をします。
利用できるのは育児休業等を終了した日において、該当育児休業等に係る3歳未満の子を養育している方です。

標準報酬月額が下がっても、将来の年金額は減らない
「3歳に満たない子を養育する被保険者等の標準報酬月額の特例」を利用すると、3歳未満の子どもを養育している間は、下がる前の標準報酬月額を使って年金額が計算されます。
会社に申し出ましょう。

3歳未満の子を養育する方の味方・養育特例とは?

養育特例とはどんな制度なの?

上記で述べた標準報酬月額を変更した場合、保険料は下がった給与に見合った額になり、年金額は下がる前の給与に合わせて将来も支給される制度です。

詳しい養育特例の解説
毎月お給料から天引きされている厚生年金保険料は、標準報酬月額に保険料率をかけて算出されます。(毎年9月に改定になる保険料率ですが、平成29年8月まで15.782%、会社が半分負担してくれます。
参考:日本年金機構 厚生年金保険料額表
これはパパもママも利用できます。育休後どんな理由であれ、お給料が下がった場合は利用できます。お給料は残業代や通勤手当など各種手当てを含んだ額です。子育てしやすくするために引っ越して、通勤手当が下がった場合でも利用できます。
過去2年間さかのぼって申請できますので、これを読んで気づいた方も間に合います。
申請は会社を通じて年金事務所に提出します。その際1,厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書、2, 戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書、3,住民票が必要です。
参考:日本年金機構 養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置

会社には行う義務はなく、本人の申し出により会社が行ってくれるものなので、忘れずに申請しましょう。

育休明けに働くママが意識するべきこと

育休明けは上司を味方につける工夫をしよう

妊娠はプライベートなのことなので、特に男性の上司に話すのは気が引けると思います。
でも産休復帰について何も分からない状態なのは上司も同じ。「女性活躍推進法」ができ、会社としても上司も女性の働き活躍を進めなくてはいけません。コミュニケーションを取ってくれる女性はありがたいし、かわいがれる存在です。
直属の上司には「1,2ヶ月慣れるまではご迷惑かけると思いますが」と初めから話しておき、分かってもらえる機会を作りましょう。上司にとっては子どものいる女性部下がいなかったり、自分の妻が専業主婦だったりすると、長期的な目で見るのが難しい場合が多いです。
確かに復帰後は共働きのバランスや保育園に慣れるまで、試行錯誤で仕事のパフォーマンスが上がらないことでしょう。それでもその先「自分はこういう働き方をしたい。頑張っていきます」とよく話しておくことで、混乱期が終わった後、決して育児でモチベーションが下がっているわけではないと分かれば、上司も仕事を与えやすくなります。

育休明けは必ずしも時短勤務を選択しなくてもいい
お給料を下げたくないし、仕事が楽しい本気でやりたい、という気持ちがあるなら、必ずしも時短勤務をしなくてもいいはずです。時短勤務を選択した時点で「育児を優先している」と思われるのは必須です。そう思われるのは会社からだけではありません。ママが時短でその分保育園の送迎や家事をしていたら、共働きで分担していこうと話し合っていたとしても、パパからすればママ任せにしていいということになります。
上司を味方につけていれば、業務量が増えてきついときでも的確なサポートをもらえます。

産休明けに使える制度を知ること、復帰に備えてできることを準備して、働くママとして頑張っていきましょう。

(文・ライオンママ)

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