熊野のサンマとサンマ寿司

サンマの美味しい季節と言ったら秋ですが、紀伊半島の熊野周辺でとれるサンマは秋の味覚とは一味違います。旬は一般的なサンマの旬が終わる11月から年明けの2月ごろ。北からの長い旅を経て適度に脂が落ち、身が引き締まって味がしっかり凝縮されたサンマです。熊野近辺では冬の間天日干しにしたサンマを焼いて食べるのが一般的ですが、特徴的な食べ方が「サンマ寿司」です。

作り方は、まず背開きにしたサンマから背骨と小骨を丁寧に取ります。塩で4時間以上、酢で2時間以上しめて下ごしらえをします。巻き簾の上にサンマを乗せ、酢飯をのせて巻いて形を整えれば出来上がり。シンプルですが手間がかかっています。熊野では各家庭でも作られるサンマ寿司ですが、観光客の方でも食べられるお店がいくつかあり、中でも「磯甚」が人気です。

熊野尾鷲道路の終点から、国道42号を山側に700メートルほど進んだところにある国道沿いの食堂・磯甚。自慢のサンマ寿司は注文が入ってから握ってもらえます。特産の新鮮なサンマは、毎日その日に採れた分を酢じめにしているそうです。サンマや柔らかめに炊かれた自家製米のご飯には、天然醸造酢の他に、柚子や、地元特産の橙ずが配合されています。爽やかな酸味と旨味が相まって、サンマの味を引き立てます。醤油に一味唐辛子をトッピングして食べるのが磯甚流。保存料など無添加のため日持ちはしませんが、持ち帰りや通販でも購入が可能です。高速が開通し、名古屋から4時間ほどと大分行きやすくなった熊野の美味しい「冬の味覚」です。

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