平地で高山植物を観察できる!?「花の湿原」霧多布湿原

北海道東部最大の街・釧路と、最東端の街・根室のほぼ中間に位置する浜中町。この人口約6千人の町の中央に、道内屈指の花の湿原と呼ばれる霧多布(きりたっぷ)湿原があります。広さは約3,000平方メートル。東京ドーム約600個分以上の面積のこの湿原には、春から秋にかけて約300種の花が咲くことから、「花の湿原」と呼ばれています。国の特別天然記念物のタンチョウをはじめとする約100種類の野鳥を観察することができるなど、自然環境の豊かさから1993年にはラムサール条約に登録され、2001年には北海道遺産に選定されました。

霧多布湿原の中心部は天然記念物ですが、周辺部は民有地です。公共事業による埋め立てや家屋の建築、土地の造成などが進むことの懸念から、この美しい湿原を後世に残そうと、地元の有志により1986年に保全活動が始まりました。その活動は、認定NPO法人『霧多布湿原ナショナルトラスト』へと続き、今も霧多布湿原の保全に力を注ぎ続けています。全国各地に霧多布湿原ファンを誕生させ、湿原内の全面積中、約3分の1を占める民有地を、ナショナルトラスト運動にて保全しています。現在では会員も全国から2000人を超え、2007年11月にはエコツーリズム大賞を受賞するなど、社会的意義も広範囲で認められています。

 

※ナショナルトラスト運動:19世紀末イギリスで始まった市民運動で、資金や力を出し合って貴重な自然や文化遺産を残していくなどの活動を行います。

浜中町は湿原の中だけで約300種、町全体では約700種もの花を見ることができる花の町です。春先からフクジュソウやミズバショウが咲き始め、初夏にはエゾカンゾウの黄色い群落と綿帽子のような真っ白なワタスゲが目の前に広がるのを見ることができます。また、本州の一般的な生活圏では見られないツルコケモモやガンコウランといった本州以南では標高の高い山間部にしか生えていない「高山植物」を、「平地」で観察できます。6~7月に行けば、高山植物を厳しい登山をすることなく気軽に見ることができるのです。

霧多布湿原を訪れた人たちに魅力と情報を最大限に伝える為に、湿原を見下ろす高台にはビジターセンターとして霧多布湿原センターがあります。浜中町の自然や産業をわかりやすく楽しく学べるように工夫された展示がされています。2階にあがると温かみの感じられる空間でゆっくりくつろげるのカフェがあり魅力の一つとなっています。浜中町は天然昆布の水揚げ量日本一を誇る町でもあり、また酪農の町でもあります。地元出身のシェフによる、浜中町の海産物や乳製品を使った工夫をこらした旬のメニューを、美しい霧多布湿原を見下ろしながら楽しむことができるのです。

熱い想いをもった地元の有志による積極的な保全活動により、訪れる人々に雄大な自然の美しさをプレゼントしてくれる霧多布湿原。霧多布湿原センターでは「花暦カレンダー」をウェブサイトで公開しており、霧多布湿原の代表的な花々の見ごろがひと目で分かります。開花時期はその年ごとに異なることがあるので、ぜひ公式サイトで確認してからお出かけください。

筆者:澤口美穂。カナダへのワーキングホリデー、グアテマラ留学含め、約2年半北米、中米、南米を中心に周遊。帰国後、ヨーロッパ本社の外資系企業日本法人2社で合計20年間勤務し、20代からの訪問国数は約30か国以上。平成28年、生活拠点を東京から札幌に移す。様々な国の人々と共に働いてきた経験や自分の想いを形にした新しいビジネスと人生のセカンドステージを構築中。

[写:Kabacchi@fliker]

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霧多布湿原センター
〒088-1304
北海道厚岸郡浜中町四番沢20
電話:0153-65-2779
FAX:0153-65-2774
[開館時間]am9:00~pm5:00
[休館日]5月~9月無休 / 10月~4月火曜
[冬季休館]12/20~12/28&1/2~1/31
http://kiritappu.mond.jp/center/
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