人ごみに入るとクラクラとめまいや立ちくらみを起こしたり、立っていられなくなる、といった症状は「人酔い」と呼ばれます。ですが実際には人酔いという病名は存在しません。代わりに「血管迷走神経反射」と呼ばれる症状があって、これが人酔いに当てはまります。血管迷走神経反射とは一体どんな病気で、どんな原因で起きるのかを見ていきましょう。
血管迷走神経反射とは
長い時間ずっと同じ姿勢で立ち続けることで自律神経のバランスが崩れてしまい、血圧や心拍数が下がってしまう症状を「血管迷走神経反射」と呼びます。脳にまで上手く血液が循環できなくなってしまうため、失神やめまいなどが起きてしまうのです。学生時代に朝礼や集会で立ちくらみを起こす人が何人かいますが、これも血管迷走神経反射の一例です。よく言われる「人酔い」も、長時間人ごみに立ち続けることがストレスになって起きる血管迷走神経反射の一環と言えます。
血管迷走神経反射が起きやすい人や環境
血管迷走神経反射は本人の性格や体質、その場の環境に大きく左右されます。例えば緊張しやすい人や不安を感じやすい人であれば、ちょっとした人ごみでも大きなストレスを感じて血管迷走神経反射を起こしてしまいます。またストレスに強い人でも、普段は一緒に行動しない人と行動していたり、大勢の注目を集めてしまったり、初めて訪れたような慣れない場所だと血管迷走神経反射を起こす可能性があります。女性であれば、妊娠を機に血管迷走神経反射を起こしやすくなるケースもあるようです。
血管迷走神経反射の症状は様々
立ちくらみや失神といった症状も血管迷走神経反射が原因ですが、他にも次のような症状が出ることがあります。
●フラフラする
●視界がぼやける
●あくびが多く出る
●強く暑さや寒さを感じる
●発汗する
●頭痛が生じる
もしも人ごみなどでこれらの症状を感じるようであれば、血管迷走神経反射の可能性があります。失神を起こせば自分だけでなく周囲の人も驚かせてしまいますから、念のため外出の際には同行する人に「人ごみに酔いやすい」と伝えておくと良いですね。
疲れたら適度に休むのが正解
立ちっぱなしや人ごみの中で長時間過ごすときに、血管迷走神経反射の症状を感じたらなるべく休憩を取ってください。ベンチに座ったり喫茶店で一息ついたりして、なるべく座れる場所を探しましょう。最悪、その場にしゃがみ込むだけでもOKです。人酔いしやすい自覚のある人は、外出の際は気分が悪くならないように身体を締め付けない服装で出かけるのがおすすめです。自律神経を落ちつけられるように、温かい飲み物を持参するのも良いですよ。
writer:さじや