「笑う門には福来たる」ということわざがありますが、笑うと健康もやってきます。笑うことが体に与える良い影響については皆様すでにご存知だと思いますが、実は”泣く”ことも笑うことに負けず劣らず体にはとてもいいことをご存知でしょうか。ここでは泣くことの効果についてお伝えしますね。
“笑い”で難病を克服した事例は多数
ノーマン・カズンズというアメリカの有名なジャーナリストは治る確率が500人に1人という自己免疫疾病の一種である膠原病に対し、笑いを武器にして治したことで有名になっています。彼の体験を元にした著作は日本でも翻訳され『笑いと治癒力』という題名で出ているので読まれた方もいるかもしれません。彼に限らず笑いには治癒力がある事例は多数あります。それに笑いに治癒的効果があるということは科学的にもすでに解明されているのです。世界的にも有名な分子生物学者の村上和雄氏の実験があります。
糖尿病患者19人に退屈な講義を受けさせた場合と漫才で大笑いさせた場合とで血糖値を測定すると、明らかに大笑いした場合の方が、大幅に血糖値が抑えられたというデータも報告されています。それだけではありません。免疫を司るNK細胞の活性に関係する遺伝子群の発現が高まったというデータもあるのです。
泣くことでも免疫力はかなり上がるらしい
近年、笑うことだけではなく、泣くことも体にいいことが分かってきました。自律神経は活動や緊張している時にはたらく交換神経と休息や睡眠などのリラックスしている時にはたらく副交感神経から成り立っていますが、泣くことは副交感神経が関係しているらしく、泣くと副交感神経が優位にはたらき体がリラックスすることで自律神経や免疫系の乱れを修正することがわかってきたのです。また涙にはストレスホルモンが含まれており、体外に出すことによってストレスが洗い流されるとも言われています。泣くことによって高揚感や満足感を高める脳内麻薬物質と言われるエンドルフィンが増加することも分かっています。
なぜ人は笑うのか、なぜ泣くのか
人がなぜ笑うのか、またなぜ泣くのかはまだよく分かっていません。親は赤ちゃんを見ると自然に笑顔になり、それを赤ちゃんが感じ取ることで笑いが育っていくという、ミラーニューロンを絡めた説なども有力とされていますが、しかしこれも、ではなぜ親が笑うのかが説明できず、また、泣くことも危機の回避を伝える説などがありますが、うれしい時も泣くことがあるのでそれではうまく説明できません。ただ、笑うことと泣くことに共通しているのはカタルシス効果、つまり浄化作用があり、それは免疫力を上げ、治癒力の向上につながることははっきりしつつあるのです。
大いに笑い、大いに泣き、ストレスを洗い流してしまいましょう。
writer:Masami