
三重県桑名市で発見! 全国で唯一?の鉄板スパ専門店『伊勢ノ花天』
ケチャップで味付けし、熱々の鉄板に盛られた名古屋生まれのスパゲティーをご存じだろうか?
「鉄板ナポリタン」と呼ばれることもあるが、地元では昔からイタリアンスパゲティー、通称「イタスパ」の名前で通っている。
ナポリやミラノなどの都市ではなく、イタリアという国名を冠しているところに名古屋のダイナミズムを感じざるを得ない(笑)。
ちなみにわが家では鉄板を常備していて、たまに作ることもある。
味付けはケチャップと塩、コショウのみなので、鉄板と食材さえ揃えれば、誰でも作ることができる。
だから、専門店は成立しないと思っていた。
ところが、あったのである。
それも愛知県の隣、三重県桑名市に。
それが5年前にオープンした『伊勢ノ花天』だ。
「もともとはおかゆ専門店として営業していました。
サブメニューにナポリタンを出したところ、おかゆを凌ぐほどの人気になったんです。
いっそのこと、鉄板スパゲティーの専門店にリニューアルしようということになったんです」と、店長の志賀昭太さん。
こちらが、お客の大半が注文するという看板メニューの「ふわとろ卵の鉄板イタスパ」(880円)。
イタスパには欠かせない、赤ウインナーが整然と並んでいる。
玉ネギとピーマン、マッシュルームと定番の具材も入る。
特筆すべきは卵!
席に運ばれるまでに固まってしまうことが多いが、ここのはメニュー名の通り、時間が経ってもふわトロ。めちゃくちゃ旨そう♪
麺をフォークに巻きつけて、卵に絡める。
これがイタスパの醍醐味。
フーフー、ハフハフしながら口へ運ぶ。
味付けはケチャップと思いきや、ひと口食べただけでまったくの別物だとわかった。
トマトの酸味のみならず、香味野菜をじっくり煮込んだような深い味なのだ。
トロトロの卵に絡めて食べると、マイルドな味わいとなって、さらに美味しくなる。
また、麺を噛んだときの跳ね返されるような弾力も心地良い。
「ソースのレシピは申し上げられませんが、懐かしい味わいになるように、やや甘めに仕上げています。
お好みで粉チーズやタバスコで味の変化をつけるのもオススメです。
麺は太さ2.2ミリの極太生麺を使用しています。
注文ごとに茹で上げますので、乾麺とはまたちがった、もっちりとした食感が楽しめますよ」(志賀さん)
イタスパ以外にもトマトと野菜、肉のうま味を凝縮させた自家製のミートソースでいただく「鉄板ミートスパ」(写真・880円)や、カレーソースで麺と具材を炒めた「鉄板カリースパ」(930円)、ソース焼きそば風の「鉄板ソーススパ」(780円)の4種類。
「レシピを確立させるためにイタスパを食べ歩きました。
従来のソースや麺、具材の一つ一つを見直して刷新したのがウチのイタスパです。
もっと多くの方に食べていただいて、将来は名古屋に進出できればと考えています」(志賀さん)
名古屋、それも観光やビジネスで多くの人が集まる名古屋駅や栄にこの店があれば……。
今はあんかけスパが幅をきかせているが、イタスパがそれに取って代わるかもしれない。
伊勢ノ花天
三重県桑名市江場903-3
[TEL]0594-25-2001
[営業時間]11時~21時
[定休日]火曜
永谷正樹(ながや・まさき)
1969年生まれのアラフィフライター兼カメラマン。名古屋めしをこよなく愛し、『おとなの週末』をはじめとする全国誌に発信。名古屋めしの専門家としてテレビ出演や講演会もこなす。