
子どもがいれば小さなトラブルはつきもの。
私たち親は問答無用で
「ごめんなさいは?」
と子どもに言わせてしまいがちですが、この言葉を子どもに言い続けることで弊害があるのです。
反射的に言わせていませんか?
遊んでいてお友達のおもちゃを取ったり、叩いたりといった子ども同士のトラブルや、抱っこしていたら靴が当たったなど大人に迷惑を掛けたとき、親として反射的に口をついて出てくる「ごめんなさい」「すみません」という謝罪の言葉。
それに続いて子どもにも「ごめんなさいは?」と強制的に謝罪させる……よくあるシーンですよね。
子どもも謝るべきだし、ごめんなさいを言える素直な子になって欲しいから子どもの口から言うように促しますが、謝罪を強制するのはどうもよくないようですよ。
「ごめんなさいは?」がよくない理由
「謝ればすむ」と勘違いしてしまう
反射的に「ごめんなさい」を言わせ続けていると、子どもは「ごめんなさい」を言えば済むと勘違いしまうようになります。
「相手を傷つけても謝ればそれで済む」と誤解したまま大きくなってしまいます。
「自分の言い分は聞いてもらえない」と自己評価が下がる
「どうせあなたが悪いんだから」と決めつけられて育った子どもは「どうせ自分の言い分は聞いてもらえない」と思い込んでしまいます。
自己評価が下がって、何をやっても「どうせ……」という気持ちがつきまといます。
ごめんなさいが言えない心理
大人は行動の一部だけを見て謝罪を強制してしまうことがあります。
もしかしたら「ごめんなさい」を言わなくていいかもしれません。
たとえば虫が大好きなAくんがお友達のBちゃんにプレゼントのつもりで大量のダンゴムシをあげた。
でもBちゃんは虫が大の苦手で泣き出した。
そんなとき、A君に「謝りなさい!」と言っても「悪いことはしていないのに(むしろ善意なのに)……」と納得がいかないでしょう。
喜ばせようと思っていたのに失敗してしまった…というショックでいっぱいいっぱいなところに、謝罪しろと言われても対応できません。
「ごめんなさいは?」と謝らせる前に、なぜそんなことをしたのか、まずは子どもの言い分に耳を傾けて、それからどこが悪かったか一緒に考えましょう。
子どもは「ママが自分の気持ちを理解してくれた」となってから、始めて言葉を受け入れられるようになります。
じゃあどうすれば?
とはいっても、上記は理想論です。
公園の砂場などでは相手を傷つけたときそんな悠長なことはできません。
「あっ、ごめんなさい!」という反射的な謝罪も処世術として必要でしょう。
そういった場合は、まず子どもに謝らせずに形式上ママが謝ってから子どもに話を聞き、謝罪が必要ならば一緒に謝る、という段取りを踏んでみてはいかがでしょうか。
(文・曽田 照子)