【ビエンチャン時事】天皇、皇后両陛下の長女愛子さまは、17日からのラオス公式訪問を終えられた。初の国際親善目的での外国訪問では、現地の文化や社会事情、日本との協力の歴史にも触れ、両国の「懸け橋」になるとの思いを深めた。
◇「歩み受け継ぎ、懸け橋に」
今年は日本とラオスの外交関係樹立70周年の節目で、愛子さまは「国家元首に準じた接遇」で迎えられた。18日にトンルン国家主席を表敬訪問し、パーニー国家副主席主催の晩さん会に出席。「私たち若い世代が、両国の懸け橋となって、美しい花を咲かせていくことができれば」と海外で初めてスピーチした。20日は古都ルアンプラバンを訪れ、地元の党書記による昼食会で「父をはじめ、皇室の方々の歩みを受け継ぎ、日本とラオスとの懸け橋の一端を担うことができれば」と述べた。
随行した側近によると、あいさつ文は2012年に同国を訪れた天皇陛下や、皇后さまに相談しながら練った。「懸け橋」がキーワードとなった背景には、国際協力機構(JICA)海外協力隊の初派遣先が同国だった一方、東日本大震災で支援を受けるなど、「関係の双方向性を重視したいとのお考えがあるのでは」と話す。
◇民族衣装で友好深める
訪問に当たり、ラオス側から肩掛けと巻きスカートが特徴である同国の民族衣装が2セット贈られた。愛子さまはビエンチャンとルアンプラバンで、伝統ある寺院の見学や要人面会の際に身に着けた。
同国側からは「美しい」と好評で、愛子さまは「伝統文化を肌で感じることができ、ラオスの方々に近づいたような気がしました」と感想を話した。
滞在中には、ベトナム戦争の影響による不発弾被害を伝える施設「COPEビジターセンター」を視察。日本のNPO法人が建設し運営する「ラオ・フレンズ小児病院」も訪れ、入院中の子どもたちと交流した。
同センターで面会したJICA専門家の鷺谷大輔さん(51)は、愛子さまに日本側の不発弾除去の支援を説明し、「交流を積み重ねることが、真の平和を築く力になる」と思いを伝えた。愛子さまは時折質問をし、深くうなずきながら聞いていたという。
鷺谷さんは「愛子さまは平和について深い関心をお持ち。今回の訪問が、日本や世界に不発弾問題が知られるきっかけになれば」と話した。
〔写真説明〕ラオスのパーニー国家副主席主催の晩さん会で、あいさつされる天皇、皇后両陛下の長女愛子さま=18日、ビエンチャン
〔写真説明〕ラオスのトンルン国家主席(右)と会見される天皇、皇后両陛下の長女愛子さま。同国から贈られた民族衣装を身に着けて臨んだ=18日、ビエンチャン
〔写真説明〕フランスからの独立を記念して建てられた「凱旋(がいせん)門」を見学される天皇、皇后両陛下の長女愛子さま=18日、ビエンチャン
〔写真説明〕ラオスの民族衣装を身に着けて金色の仏塔「タートルアン大塔」を訪問し、地元の人たちの歓迎を受けられる天皇、皇后両陛下の長女愛子さま=18日、ビエンチャン

