高市首相、労働規制緩和前向き=早期解散否定、憲法改正にも意欲―衆参で代表質問

 高市早苗首相の所信表明演説に対する各党代表質問が5日、衆参両院で行われた。首相は労働時間規制の緩和について「過労死に至るような残業を良しとはしない」と述べつつ、「働き方の実態とニーズを踏まえ検討を深めていく」と前向きな考えを表明。早期の衆院解散・総選挙に関しては「今は考えている余裕はない」と否定的な意向を改めて示した。
 衆院本会議での立憲民主党の吉田晴美代表代行、国民民主党の玉木雄一郎代表への答弁。労働時間規制緩和は内閣発足時、首相が上野賢一郎厚生労働相に検討を指示した。吉田氏は「過重労働や過労死を助長する恐れがある」と批判した。
 首相はまた、憲法9条改正や緊急事態条項創設について「時代の要請に応えられる憲法を制定することは喫緊の課題だ」と意欲を示した。
 玉木氏は教育・科学技術予算の倍増と財源としての「教育国債」創設を提唱。防衛費増のため「防衛国債」を検討しているかどうかただした。首相はいずれも「新しい財源調達の在り方は前向きに検討している」と説明。玉木氏が提案した奨学金の債務残高に応じた減税は「効果が限定的だ」と慎重な姿勢を示した。
 公明党の斉藤鉄夫代表は野党の立場で初めて質問に立った。自民党派閥裏金事件を踏まえ、国民民主と共に検討する企業・団体献金の規制強化案に賛同を求めた。首相は「必要性や相当性を慎重に議論する必要がある」と述べるにとどめた。
 斉藤氏は自民と日本維新の会の連立合意書に明記された比例代表を念頭に置く衆院議員定数削減について「多様性を排除し、民主主義を破壊する」と指摘。首相は「できるだけ幅広い賛同を得ることが重要だ」と答えた。
 これに先立つ参院本会議では、立民の水岡俊一参院議員会長が学校法人森友学園を巡る財務省公文書改ざんに関し、政府が第三者委員会を設けて真相を解明するよう迫った。首相は検察が不起訴処分とした点などに触れ、「改めて第三者による調査が必要とは考えていない」と否定した。
 北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向けた金正恩朝鮮労働党総書記との会談については、「私が先頭に立って果敢に行動することで成果に結び付けたい」と語った。自民の松山政司参院議員会長への答弁。
 れいわ新選組の高井崇志幹事長と共産党の田村智子委員長も登壇し、消費税減税などを訴えた。 
〔写真説明〕参院本会議で答弁する高市早苗首相=5日、国会内

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