高市早苗首相の所信表明演説に対する各党代表質問が5日午前、参院本会議で始まった。自民党の派閥裏金事件に関与した佐藤啓官房副長官(参院議員)の起用について、首相は「国会運営に混乱を来すことになった。真摯(しんし)におわびする」と陳謝した上で続投させる意向を表明した。
立憲民主党の水岡俊一参院議員会長への答弁。水岡氏は、佐藤氏が選挙で国民の審判を受けていないと指摘し、「首相の任命責任が問われる。内閣の要職に就く資格があると考えるのか」と追及した。首相は「本人は深く反省し、さまざまな機会を通じ国民に説明してきた。再起の機会を与えてほしい」と理解を求めた。佐藤氏は野党の反発で国会の議事に副長官として出席できない状態が続いている。
水岡氏は学校法人森友学園を巡る財務省の公文書改ざん問題に関し、政府が第三者委員会を設けて真相を解明するよう迫った。首相は検察が関係者を不起訴処分とし「その後、新たな事実が判明していない」と強調。「改めて第三者による調査が必要とは考えていない」と否定した。
首相は緊急事態条項を創設する憲法改正について「時代の要請に応えられる憲法を制定することは喫緊の課題だ」と重ねて意欲を示した。
北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向けた金正恩朝鮮労働党総書記との首脳会談に関し、「私自らが先頭に立って果敢に行動することで成果に結び付けたい」と語った。「あらゆる選択肢を排除せず、私の代で突破口を開きたい」とも述べた。自民の松山政司参院議員会長への答弁。
〔写真説明〕参院本会議で、立憲民主党の水岡俊一参院議員会長が行った代表質問に答弁する高市早苗首相=5日午前、国会内
〔写真説明〕各党代表質問が行われる参院本会議を前に、議席に座る佐藤啓官房副長官=5日午前、国会内

