ノーベル賞「非常に感激」=北川さんが会見―京都

 「非常に感激している。同僚や学生、海外の研究者に感謝したい。いい環境に恵まれた」。ノーベル化学賞の受賞が決まった京都大の北川進特別教授(74)は午後8時から京大で記者会見し、笑顔で喜びを語った。
 受賞の連絡を受けたのは同5時半ごろ。研究室の電話が鳴り、「勧誘の電話がよくかかってくるので不機嫌そうに出たら、(ノーベル委員会の)選考委員長でびっくりした」と明かした。受賞した「金属有機構造体(MOF)」について「(当時は)こんなものすぐ壊れるだろうというのが常識だった。壊れない丈夫な構造を示したから(評価されたの)だろう」と推測した。
 開発には30年以上かかったといい、「つらいこともいっぱいあるが、新しいことに挑戦することは科学者にとって醍醐味(だいごみ)で楽しんでやってきた」。受賞によって「一般の人々に研究が認知されることが非常にうれしい」と喜んだ。
 化学研究者を選んだのは「物質ができる微小な構造に非常にわくわくした」から。1997年にMOFの論文を発表した際は批判を受けたが、「実験で見つけたことなので、一切揺るがずに研究を進めようと思った」と振り返った。
 多孔性材料の実用化を進めるスタートアップ企業は40社を超えているという。「多孔性材料に吸着する空気はどこでも取れる金と言える。これからは『気体』はますます『期待』される材料だ」と会場を笑わせた。
 会見途中で阿部俊子文部科学相から祝福の電話がかかってくると、「若い人の研究時間を確保できるよう、サポートする人材を増やしてほしい」と要望。記者団から子どもたちへの言葉を求められると「幸運は突然ではなく、準備されたところにやってくる。いろんな経験を大切にしてほしい」とエールを送った。 
〔写真説明〕ノーベル化学賞の受賞が決まり、記者会見する京都大の北川進特別教授=8日午後、京都市左京区
〔写真説明〕ノーベル化学賞の受賞が決まり、記者会見する京都大の北川進特別教授(中央)=8日午後、京都市左京区

externallinkコメント一覧

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)