新たなビジネスを産み出す契機にも~東京五輪のレガシーを東北に創る!(その2)

「東京五輪後も活きるようなレガシー=良き資産を残そう」「今のうちからその取り組みを始めよう」という動きが注目され始めています。ただ、どうしても開催地に近い首都圏での話とのイメージが強いのですが、『東京五輪のレガシーを東北にも創る』という「いったいどういうこと?」と思われるテーマのイベント『東北レガシーフォーラム2017』を東北経済連合会と三菱総合研究所が事務局を務めるレガシー共創協議会が去る9月に開催しました。

まず、冒頭の主催者挨拶では、早稲田大学スポーツ科学学術院教授で東京オピンピック・パラリンピック競技大会組織委員参与も務める間野協議会会長より、「東京五輪の後のパリ五輪では、若い力がテクノロジーにより『ソーシャルビジネスを生み出す』ことを重要なレガシーと位置づけ、グラミン銀行のユヌス氏を顧問に迎え、早くも取り組みを開始している」との話があり、東京五輪も単にスポーツ振興だけでなく、新たなビジネスを産み出す契機になり得る“広がり”が感じられます。

これを受けて東北経済連合会の大江専務理事から、東京五輪が単に首都圏での盛り上がりや一過性のイベントではなく、東北復興へ継続的につながるためのアクションを呼び掛ける共催者挨拶がなされました。

続いて、岩手県釜石市も会場となっているラグビーW杯2019組織委の牧野戦略・レガシー局長、関西中心に開催されるワールドマスターズゲームズ2021組織委の東企画調整部長から、それぞれの開催に向けた取り組みが紹介され、2019、20、21年と3年間続く『ゴールデンスポーツイヤーズ』を、組織や地域が連携して活用することが重要だと理解できます。

次に、バレーボール日本代表の柳本元監督が『スポーツ振興で復興に加速を』というタイトルで講演されました。オリンピックに賭ける選手達の思いを、最も近い現場で、厳しくも温かく見続けた方の、臨場感溢れるエピソードを交えたお話を聞くと、五輪というイベントが、単なる一回の競技大会として終わるのでなく、人の一生や地域の未来を変えうるリアルなエネルギーを持っていることがまざまざと感じられます。

さらに、仲伏協議会事務局長より、ロンドン五輪の実例を交えながら、以下のような『東北での五輪のレガシー創り』のヒントが示されました。

●五輪は世界的なメディアやVIPが注目するイベントのため、事前から上手な発信を行えばそのPR効果が絶大であること
●2012年ロンドン大会では、英国観光庁は、世界のメディアがイギリスの地方を報道することが大会のレガシーをロンドンだけでなく全国的なものと拡げる効果的な方法と考え、2007年より毎年1000名程の海外メディアを招聘
●ロンドン大会では、観光振興等の予算を、大会の前・中・後で2:2:6とした。東北でも、五輪後の成果の刈り取り期に重点投資するとよい
●今回の東北の場合、競技や合宿・キャンプ招聘など各地の取り組みのみならず、世界中に対する復興支援への感謝や復興状況のアピール、あるいは、地域外の人々や企業との協働による新たな活動や事業への創出が可能

今回の『東北レガシーフォーラム2017~東北復興レガシーの創出に向けて』というイベントが興味深かったのは、以上の有識者の講話にとどまらず、首都圏の民間企業から東北の経済界・スポーツ界の方々に向けた『レガシー事業提案』のセッションがあったことです。東北が五輪を契機にビジネスチャンスに満ちていることを、日本中、世界中に協力してアピールしようとの意欲が感じられました。

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