徳之島、復活した『陸の中の海』

11月、徳之島へ訪れました。空港へ降り立つと、暖かい空気に夏の面影を感じつつ見渡す景色には季節が変わっている様が見えました。空港からすぐの場所に「ウンブキ」はあります。ウンブキとは、方言で”鍾乳洞”という意味で、かつてサンゴ礁が地上に隆起して鍾乳洞ができ、再び海に没した海底洞窟で、『陸の中の海』とも呼ばれています。およそ400メートル先で海につながっているので、海水と地下水(真水)が混じり合っており、絶滅危惧種を含む南国特有の希少動植物なども見る事が出来ます。

ウンブキは地上より下に位置するため、階段を降りて向かいます。以前はゴミの不法投棄や土砂の流入で埋没状態だったため、2011年から2年をかけてウンブキの復元整備が行われました。その話を聞くと蘇った「ウンブキ」訪問できたことに喜びを感じます。


※そこには沢山のガジュマルが!その力強さに驚きました。

ガジュマルは幹の途中から「気根」という根を出し、それが地表へ付き根を張って広がります。また他の木へも巻きつき、侵食しながら成長していくので「絞め殺しの木」とも言われています。こんな目の前でガジュマルを見たのは人生で初めてでしたが、まるで血管のように張り巡っている姿を見ていると、人体の内部を大画面で拡大して覗いているかのような感覚になりました。そうした影響なのか他の植物よりも親近感が湧き、生き物としての生命力を強烈に感じました。大地に根を張り広げ、成長している幹の固さからは、生きることにぶれない強さを強く感じ、尊敬の念を抱かずにはいられません。

奥へ進み鍾乳洞へ近づくと辺りは泥濘んでいて滑りそうです。ビーチサンダルでは危険なので、滑りにくい履物をお薦めします。また、むっとする空気に驚きます。洞窟内には風が通らず、まだ夏の気温に近いせいなのか蒸し暑さに加えて圧迫感も増し、今まで見て来た鍾乳洞のイメージとは全く異なりました。

目的の池にたどり着き覗いてみると、水は素晴らしい透明度を湛えています。また、エメラルドグリーンの水面へ雨のように水滴が落ちてくるのを見るのも新鮮です。どの程度の深さがあるのか目視ではわからない程綺麗な池でした。しかし、11月はまだ洞窟内に蚊がおり、あっという間に何箇所も刺されてしまい長く滞在することができませんでした。時期によっては虫除け対策も必要かもしれません。徳之島を凝縮したような「ウンブキ」、
空港へ到着したら最初にここに訪れ、まずはここから旅のスタートをしてはいかがでしょうか。

【筆者紹介】
Kite:ヒップホップダンスのインストラクターをしながら、インスピレーションを求めて日本や世界を旅する女性ダンサー。

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