
トランプ米大統領が日米関税合意を履行する大統領令に署名したことを受け、石破茂首相(自民党総裁)は5日、改めて退陣を否定した。続投が必要な理由の一つとして「合意の完全履行」を挙げていたものの、この日は経済対策の策定を表明するなど政権継続への強い執念を示した。
「関税対策は(自身の)進退に関係なく、政府としてどうしてもやり遂げなければならないことだった」。首相は日米交渉の終結で自身の進退に関する考えに変化はあるかと記者団から問われ、こう言い切った。物価上昇を上回る賃上げ実現に向け、「この秋に経済対策を策定する」と明言。訪米した赤沢亮正経済再生担当相を通じ、トランプ氏に来日を改めて招請したことも明らかにした。
首相は参院選惨敗を総括した2日の両院議員総会で「地位に恋々とするものではない。しがみつくつもりも全くない」と述べつつ、具体的な対応は「しかるべき時に判断する」と曖昧にした。その後も公務や外交日程を精力的にこなしている。
総裁選前倒しの是非が決まる8日からは政権が重視する地方創生の総合戦略の年内取りまとめに向け、知事との意見交換会を3回開催する予定だ。首相周辺は「首相として、やるべき仕事をやらなければいけない」と語った。
〔写真説明〕記者団の質問に答える石破茂首相=5日、首相官邸