素朴で温かい 熊本の高菜めし

熊本県阿蘇地域の郷土料理といえば高菜めし。阿蘇地域では古くから高菜の栽培が盛んで、収穫した高菜を塩漬けにし、乳酸発酵させた高菜漬けが有名です。冬場は厳しい寒さの阿蘇では、古くから保存食として重宝されていた高菜漬け。シャキシャキとした歯ざわりと、発酵による爽やかな酸味やうまみが特徴です。阿蘇の高菜漬けはそのまま食べても良し、ごま油で炒めても良しと、阿蘇地域のみならず熊本県全域で愛される伝統食。ご飯のお供に最適な漬物といえます。

この高菜漬けをさらに美味しく食べるために生まれたのが高菜めしです。刻んだ高菜とふわふわの炒り卵をご飯と和えながらごま油で炒め、調味料として醤油や塩を加えます。アクセントにゴマや紅しょうがをトッピングすれば、芳ばしい高菜めしの完成。高菜漬けの酸味とごま油のコク、炒り卵の甘みがどこか懐かしく、温かみのある味わいです。高菜ピラフや高菜チャーハンよりも素朴な味付けが特徴的です。

高菜漬け自体に塩気があるので、特別な味付けはせずシンプルな製法で作られています。家庭の台所でも簡単に作れることから、熊本では定番の家庭料理でもあります。ご家庭によって味付けや使用する高菜漬けが違い、家族の好みに合わせた高菜めしがよく食べられています。余った高菜漬けをごま油で炒め高菜炒めにし、更に余れば高菜めしに。食べ物は残さず美味しくいただく、そんな日常食でもあります。

阿蘇の観光者向けレストランでも高菜めしは定番メニュー。それぞれ趣向を凝らしたオリジナルの高菜めしが提供されています。自家栽培の米や高菜にこだわった高菜めしや、刻んだタケノコや唐辛子でアクセントをつけた高菜めしなど、さまざまな味が楽しめます。阿蘇近郊では高菜の栽培だけではなく、米の栽培や畜産業も盛んに行われているので、高菜めしはまさに阿蘇山の恵みの賜物と言えるでしょう。自然豊かな阿蘇山の風景を楽しみながら、素朴で温かい高菜めしを召し上がってみてください。

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