
日本代表は12日、東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会・第2節で中国代表を2-0で破った。試合後、報道陣の取材に応じたMF宇野禅斗(清水エスパルス)は、日本代表としてのデビュー戦で得た手応えと学びを明かしつつ、「僕は僕なりに、できることは90分間やり切れたかなと思います」と充実の表情を浮かべた。
6-1と大勝したホンコン・チャイナ代表戦から中3日で迎えた中国戦。森保一監督はスターティングメンバー11名を総入れ替えする決断を下し、今回が初の日本代表招集だった宇野にとっては、中国代表とのゲームがデビュー戦だった。持ち味のボール奪取力や寄せの早さ、デュエルでの力強さも随所に披露。バランスを見ながら、組み立ての際には落ち着いてチームの進むべき方向を示し、“気の利いたプレー”でチームを支える。まさに、“等身大の宇野禅斗”と呼びたくなるプレーだった。
宇野は「やらないと分からないと思ってましたし、『行かないと』と思っていました、たとえ、『今のは行くべきじゃなかった』と評価されたとしても、自分の中ではまずは『行ってみないと』と考えていました」と、積極的に自らの強みをぶつける意識を持って試合に入っていたことを明かす。
その上で、「潰し切らないといけなかった点は何個もありました」と課題も口にする。「潰し切れなければ、シュートまで持っていかれるのが世界の戦いだと思う。反省点として受け止めて、次に繋げていく」と、自らの強みである“刈り取る”部分にもさらに磨きをかける覚悟を示した。
ダブルボランチのパフォーマンスについては、「聡くんのパスから点が入ったり、チャンスクリエイトもできたと思うので、総じて悪くはなかった」と振り返りつつ、田中との役割分担について「もう少しタッチ数を少なく、テンポ良くボールを動かしながら、同時に前方を覗きながら、サイド変えながら、うまくコントロールしてやりたかった」と反省。「自分も聡くんも、どちらも攻撃的に出て行ける選手」だと自負しているからこそ、まだまだできることがあったと感じている。
「前に行く意識レベルは高く持ちながらやれたと思います。ただ、各駅停車のパスが増えてしまい、結果として試合を難しくしてしまった。もうちょっとハッキリと、スイッチを入れるパスを差し込んだり、相手の逆を取るようなプレーを増やしたり、僕たちがもう少し分かりやすく前に関わることができれば、チームもシュートまで行ける回数を増やせたかなとは思います」
その田中は前半限りのプレーとなり、後半に入ると相棒がMF稲垣祥(名古屋グランパス)に変わった。「プレッシャーもなかったですし、僕たちのところではスペースもあった」との言葉通り、前半から宇野は常に立ち位置を意識し、比較的余裕を持ってプレーする姿が印象的だったが、「引いてくる相手に対して、焦れることなく動かしてやっていくところに関しては、後半に祥くんが入った中で、彼の経験値の高さを感じましたし、学ぶべきところが多かった」と話す。
「僕がボールを持った時の判断だったり、行くところと行かないところ、パスを差すところと差さないところ、学ぶべき点、成長できる点がいっぱいあるなと感じましたね」
後半からコンビを組んだ稲垣、そして共にフル出場したDF長友佑都(FC東京)など、ベテランとしてチームを引っ張る選手たちの“発信力”についても、学ぶべき点があったようだ。「言葉もそうですけど、1つのプレーや動き出しなど、すべてにおいて影響力がある選手たち」と語ると、今回はオール国内組の構成となっているが、海外でプレーする選手が大多数を占める日本代表にまで視座を高め、「A代表に入るような選手たちは、11人全員がそのような能力を持った選手たち。だからこそ、すぐにイメージの共有ができるし、コンビネーションも生まれる」と自らの考えを明かす。「そのような点も、これからさらに上げていかないといけない」と、己の基準も研いでいくつもりだ。
また、会場の『龍仁弥勒スタジアム』には、宇野の横断幕も2枚掲げられていたが、本人の目にも入っていたという。「韓国まで持ってきてくれることが嬉しいですし、ユニフォームやタオル掲げてくれるファン・サポーターの方もいたので、本当に力になりました」と笑顔を見せつつも、「だからこそ、そのような期待だったり、応援に応えていく、応えていける選手になっていきたい」と強い覚悟を口にする。
15日に控えたE-1選手権の最終戦は、タイトルを懸けた“日韓戦となるが、「チームとしては優勝しか考えていない。勝つためにいい準備ができれば」と意気込み。チームを勝利へ導くボランチとして、さらに成長を続けていく。
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