
フィリピンを拠点とした「ルフィ」などと名乗る指示役らの広域強盗、特殊詐欺事件で、実行役らを集めたとして、強盗致傷ほう助や詐欺などの罪に問われた幹部小島智信被告(47)の裁判員裁判の初公判が1日、東京地裁(板津正道裁判長)であった。小島被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
逮捕・起訴されたルフィグループ幹部4人のうち、公判が始まったのは初めて。小島被告はX(旧ツイッター)で実行役らを集めるリクルーター役だったとされ、組織の実態やカネの流れが解明されるか注目される。判決は23日。
検察側の冒頭陳述によると、小島被告は2018年夏ごろ、フィリピンに渡航し、リーダー格の渡辺優樹被告(41)が組織した特殊詐欺グループに参加。「金庫番」として奪った金を管理するなどしていたといい、検察側は「渡辺被告に次ぐ重要な役割」と述べた。
グループがフィリピンの入管施設から強盗を指示するようになると、小島被告はXなどで「タタキ案件です」と闇バイトを勧誘。実行役の連絡先などを別の幹部に紹介していたと指摘した。
一方、弁護側は小島被告が暗号資産(仮想通貨)の投資に失敗し、当初はうその電話をかける「かけ子」として特殊詐欺グループに加わったと説明。借金の肩代わりをしてもらった渡辺被告から強盗事件の実行役を用意するよう指示されたが、各事件の詳細は知らず、関与の度合いは低いと主張した。
同グループのうち、渡辺被告や、いずれも幹部の今村磨人(41)、藤田聖也(41)両被告は東京都狛江市で女性が死亡した事件にも関与したとして強盗致死罪などで起訴されている。初公判のめどは立っていない。
起訴状によると、小島被告は22年10~12月、東京都稲城市や中野区、山口県岩国市で発生した強盗致傷事件などで実行役を紹介。また、現金計約5400万円を詐取したなどとされる。
〔写真説明〕初公判に臨む、ルフィグループ幹部の小島智信被告=1日午前、東京地裁(イラスト・日下部亜留斗氏)
〔写真説明〕フィリピンから強制送還され、羽田空港に到着した小島智信被告=2023年2月、東京都大田区