
日銀が1日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス13と、3月の前回調査から1ポイント改善した。改善は2四半期ぶり。トランプ米政権が自動車への追加関税や相互関税を発動して初の短観となり、不確実性は高まったものの、コスト上昇分の価格転嫁が進み、好調な企業収益が改善に寄与した。
トランプ関税の影響で、大企業製造業の自動車はプラス8(前回プラス13)と3期ぶりに悪化。汎用(はんよう)機械はプラス23(同プラス27)、生産用機械もプラス15(同プラス17)に下落した。
一方、鉄鋼は原材料価格の低下などでマイナス3(同マイナス18)、紙・パルプは主に価格転嫁の進展でプラス29(同プラス18)に改善した。
もっとも、先行きの景況感では、大企業製造業がプラス12と1ポイント悪化。米関税への懸念が、幅広い業種でくすぶっているという。
大企業非製造業はプラス34(同プラス35)と2期ぶりに悪化した。物価高による消費減少への懸念や人手不足による工期の長期化などが響いた。インバウンド(訪日客)消費の下振れもあり、小売りや宿泊・飲食サービスが振るわなかった。先行きでも、大企業非製造業は27と、7ポイントの悪化を見込む。
DIは業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いて算出する。
中小企業は製造業がプラス1(同プラス2)と5期ぶり、非製造業がプラス15(同プラス16)と4期ぶりにそれぞれ悪化した。
〔写真説明〕日銀本店=東京都中央区(AFP時事)