万博、入場券販売が好調=黒字化達成も視野に―暑さ本番「満足度」課題

 大阪・関西万博の入場券売り上げが好調だ。1週間当たりの販売枚数は5月中旬以降、3週連続で50万枚を上回っており、このままのペースが続けば、黒字化の目安「1840万枚」の達成も視野に入る。一方、来場者数の増加に伴い会場内では長蛇の列が目出ち始めた。暑さが本番を迎える中、訪れた人の満足度をどのように保つかが大きな課題となる。
 万博を運営する日本国際博覧会協会は、4月13日の開幕までに1400万枚の前売り券販売を目指したが、実際には約970万枚にとどまった。ただ、開幕後は徐々に増加。協会幹部は「万博の魅力が伝わりつつある」と手応えを見せる。特に5月末まで割引価格が適用された通期パスが好調で、同月7日から始めた、夜間券の入場開始を「午後4時」に1時間前倒しする運用も後押しした。
 協会は運営費(1160億円)の8割程度を入場料収入で賄う計画。仮に週50万枚のペースを維持した場合、8月中旬までには1840万枚に達し、黒字が見込まれる計算となる。ただ、高科淳副事務総長は今月2日の記者会見で「(販売好調が)いつまで続くのか、どこで低下する可能性があるのかを考慮しないといけない」と慎重な見方を示した。
 実際に会場に足を運ぶ来場者数も増加傾向だ。5月31日には最多の約17万人を記録。音楽ライブや花火の打ち上げなどの人気イベントが重なり、来場者数を押し上げたとみられる。
 協会は会期中、2820万人の来場を想定。ピーク時には22万人超が訪れると見込むが、協会内からは「20万人が一斉に楽しめるだけのサービスはない」(幹部)との声も上がる。夏の猛暑が予想される中、パビリオン前に長時間並ぶことで熱中症のリスクが高まることも懸念される。
 高科氏は「何が何でも多く(人を)入れたらいいということではない」と強調。来場者の意見を踏まえ、満足度が低下するタイミングと集客とのバランスなども見極めたい考えだ。 
〔写真説明〕多くの来場者でにぎわう大阪・関西万博の会場=6日、大阪市此花区

externallinkコメント一覧

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)